子会社株式・関連会社株式からの保有目的区分の変更
有価証券はその保有目的に従って取得時において『売買目的有価証券』『満期保有目的の債券』『子会社株式及び関連会社株式』『その他有価証券』に分類されます。これらの保有目的区分は原則的には変更することはできませんが、正当な理由がある場合には保有目的区分を変更することができます(金融商品会計に関する実務指針 第80項参照)。
保有する子会社株式・関連会社株式の一部を売却することにより持分比率が減少し、当該株式が子会社株式・関連会社株式に該当しなくなった場合には、帳簿価額をもって変更後の区分である売買目的有価証券またはその他有価証券に振り替える処理を行います(金融商品会計に関する実務指針 第89項参照)。
子会社株式・関連会社株式からその他の保有区分への変更については、期中に変更の決定が行われ又は変更すべき事実の発生があったとしても、変更が期首(直前中間決算日又は直前四半期決算日の翌日を含む。)になされたものとみなして、振替の処理を行うこともできます(金融商品会計に関する実務指針 第81項参照)。
(具体例-子会社・関連会社株式からの保有区分の変更)
保有する以下のS社株式(子会社株式に該当)について、この度、その一部を売却し代金は現金で受け取った。この売却により、当社のS社株式の持ち分比率は20%を下回ることとなったため、これを子会社株式からその他有価証券へ保有目的区分の変更を行った。変更時の仕訳を示しなさい。
(S社株式-従来より保有している分)
取得原価:2,000,000円(10,000株)
上記のうち売却分:1,500,000円(7,500株)
売却時の時価:1株当たり190円
(計算過程)
売却収入=7,500株×190円=1,425,000円
売却損益=売却収入1,425,000円-売却分の帳簿価額1,500,000円=△75,000円(評価損)
子会社株式からその他有価証券への振替額:売却前の保有分2,000,000円-売却分1,500,000円=500,000円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 1,425,000 | 子会社株式 (売却分) |
1,500,000 |
子会社株式売却損 | 75,000 | - | - |
投資有価証券 | 500,000 | 子会社株式 (保有分) |
500,000 |
子会社株式を売却することにより、売却収入(売却時の時価)と売却株式の簿価との差額を売却損益として損益計上します。
いっぽう、売却しなかった部分については保有区分を子会社株式からその他有価証券を表す投資有価証券勘定へ帳簿価額により振り替え処理を行います(継続保有している部分からの評価損益は発生しません)。
(関連項目)
有価証券の保有目的区分の変更(変更一覧表)
満期保有目的の債券の保有目的区分の変更について
売買目的有価証券からその他有価証券への保有目的区分の変更
その他有価証券から売買目的有価証券への保有目的区分の変更
売買目的有価証券から子会社・関連会社株式への区分の変更
その他有価証券(全部純資産直入法)から子会社・関連会社株式への変更
その他有価証券(部分純資産直入法)から子会社・関連会社株式への変更
スポンサードリンク