簿記の勉強方法(専門学校・通信教育・独学)

このページでは、これから簿記の勉強を始めようとされている方、就職のため簿記検定の3級や2級を受験しようと考えておられる方、あるいは公認会計士試験・税理士試験の合格に向けて簿記を本格的に勉強したいと考えている方へ簿記の各勉強方法の長所と短所をご紹介しています。
一般的に簿記の勉強方法としては、

1.受験専門学校で勉強する
2.通信教育を利用する
3. 市販の参考書などを利用して1人で勉強する

の3つの方法がありますが、それぞれの方法に一長一短があります。それぞれのメリットとデメリットとをまとめると以下のようになります。

メリット デメリット
専門学校 1. 同じ目標を持つ仲間やライバルができる
2. 受験学校のノウハウにより、無駄のない勉強を効率的に進めることができる
3. 制度改正や法律改正など最新の情報をいち早く入手できる
4. 受験に向けてのペースメーカーとして利用することができる
1. 独学にくらべて表面的なコストが高くなる
2. 時間や場所が制約される
3. 地域によっては受験学校が近くにない場合がある
通信教育 1. 自分好きな時間に好きな場所で学習できる
2. 受験学校のノウハウにより、無駄のない学習を効率的に進めることができる
3. 制度改正や法律改正など最新の情報をいち早く入手できる
4. 電話やメールで質問することができ、積み残しなく効率的な学習が可能となる
1. 独学にくらべて表面的なコストが高くなる
2. 基本的に1人での学習となるため、受験生同士が競い合うことによる相乗効果が見込めない
3. 受験学校とのやり取りにタイムラグが発生する
独学 1. 自分好きな時間に好きな場所で学習できる
2. 表面的なコストが割安となる
1. 1人での学習となるため、受験生同士が競い合うことによる相乗効果が見込めない
2. 不明点や疑問点に関し、すべて自己解決が求められ学習効率は悪くなる
3. 学習期間等を考慮した実質的なコストは割高となる(特に日商2級以上の場合)
4.自由にやめることができること

目指す資格や簿記を学習する目的により、またそれぞれのおかれた環境などにより最善の勉強方法は異なりますが、各勉強方法についての特徴は、以下のようになります(著者の経験則によるものです)。

1.受験専門学校で勉強する

受験専門学校を選ぶメリットはいろいろあるのですが、何と言っても最大のメリットは受験仲間(あるいはライバル)ができるということです。同じ環境で、同じ試験を目指して机を並べて勉強した仲間は受験が終わった後でも長い付き合いなることもあります。また、仲間やライバルと切磋琢磨して答練(テスト)の点数を争うことは自分の実力を飛躍的に向上させることにもつながります(簿記のような処理・技術能力を問う試験ではこの効果が非常に大きいです)。

いっぽうデメリットとしては、専門学校に通学することは時間や場所が制約され、独学などと比較した場合、受験コストが割高となる点があります。ただし、多くの合格者を輩出した専門学校の勉強ノウハウは簿記学習を非常に効率的に進めることを可能とし、無駄な時間・無駄な勉強をすることなく合格に直結する勉強だけを行うことができ、結果として時間やコストを大幅に短縮・軽減することができます。

上記の点を考慮する限り、専門学校を利用することは、時間やコストが許す限り最もおすすめな勉強方法であるといえます。なお最終目標を公認会計士試験や税理士試験に設定している場合は専門学校を利用することが必須となると考えてください(仕事上の制約等あるかもしれませんが、なるべく早い段階で専門学校での勉強に切り替えてください。通信教育で合格される方もいらっしゃいますが、これらの方ももともとは専門学校で勉強し、一定の学力を身につけて通信教育講座に移った方が大半です)。

2.通信教育で勉強する

通信講座は専門学校で勉強する方法と自分1人(独学)で勉強する方法の中間的な学習方法であるといえます。なんといってもこの方法の最大のメリットは、時間や場所に制約がない事です。日中忙しいサラリーマンや学生の方でも気軽に始めることができる方法といえます。また専門学校のテキストや試験に関する最新情報を入手することができます。地域によっては近くに受験専門学校がない場合もありますので、そのような方にとっても受験学校のノウハウを気軽に利用でき、また電話やメールなどでわからない点を気軽に質問することもでき、自己解決を求められる独学と比べより効率的な学習が可能となります。

いっぽうデメリットとしては、独学の場合と比べるとコストが割高となり、逆に専門学校通学コースと比べると基本的に1人での学習となるため、受験生同士が競い合うことによる相乗効果が見込めない点があります。特にご自分に甘い方はついつい勉強を後回しにしてしまい、次々に送られてくる教材についていけなくなることもありますので進捗状況の管理が非常に重要となります。

上述の通り、地域によっては近くに専門学校がない場合がありそのような場合であっても専門学校のノウハウを利用、日中忙しい方でも空いた時間に自由に勉強できるのは通信の最大の魅力ではないでしょうか。

3.独学(1人で勉強する)

受験学校や通信講座などを利用せず、市販の参考書などで1人で勉強する方法です。この方法の最大のメリットは受験コストが上記の方法と比べて最も割安になる事です。発生するコストは受験料と参考書代程度であり、時間的・場所的な制約もありません。

いっぽうデメリットとしては、完全に一人での勉強になりますので、受験生同士が競い合うことによる相乗効果が見込めないこと、わからないことがあっても自己解決が求められることなどがありますが、この方法の最大のデメリットは自由にやめることができることです。受験勉強は環境だといいますが、勉強をやめることや目標を先延ばしにすることが自由にできる環境に打ち勝ち、合格を勝ち取るためには非常に厳しい自己管理が必要となります。

なお、日商簿記検定の3級(人によっては2級)までであれば独学で合格することも可能ですが、独学の最大のメリットである受験コストについて、簿記検定3級の通信講座は1万円程度ですので通信でもコスト差はほとんどありません。また簿記という科目の性質(技術・処理能力試験)上、受験学校などに通われる方が圧倒的に有利となりますので、もし独学で日商簿記検定2級以上の試験を受験されようと考えておられる方は、専門学校の受験生と比べて不利な状況にあることだけは認識しておいてください(独学によって発生する無駄な時間・無駄な勉強などを考慮するとコスト面でも決して有利とはいえません)。