ETC利用時のインボイス対応の基礎

ETCを利用した場合、利用時にはそのままゲートを通過しますので利用時に領収書や証明書を受け取ることはありません。
ETCの利用にさいしてクレジットカードを決済手段として利用する場合は、後日クレジットカード会社よりETCの利用明細が送られきます(もしくはクレジットカード発行会社のサイトからダウンロード出来るようになります)のでその金額をもとに会計ソフト入力などを行いますが、このクレジットカード会社から送られてくるETC利用明細はインボイスとして利用することができるのでしょうか。

クレジットカード会社のETC利用明細書はインボイスとならず、それだけでは仕入税額控除(消費税計算上の経費)はできない

(ETC利用時のインボイスの取り扱い)
原則 ETCクレジットカードを使用した高速道路利用に関しては、基本としてすべての取引につき、ETC利用照会サービスでダウンロードした「利用証明書(簡易インボイス)」の保存により仕入税額控除を行う
容認 高速道路の利用頻度が高く、「利用証明書」のダウンロードが困難なときは「クレジットカード利用明細書」と、利用した高速道路会社等ごとに任意の一取引の「利用証明書」を併せて保存することにより、インボイスの保存があるものとすることができる

インボイスとは一般に売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものであり、一般に売り手が買い手に交付したものでなければなりません。しかしクレジットカード会社が発行する「クレジットカード利用明細書」は、通常、売手の交付する書類(クレカ会社≠高速道路事業者)ではなく、取引内容等の記載もないためインボイスには該当しないことになります。
したがってETCを利用した際の原則的な対応としては、すべてのETCの利用について、高速道路事業者が運営するETC利用照会サービスでダウンロードした「利用証明書(簡易インボイス)」の保存により仕入税額控除を行うことになります。

しかし実務上すべての高速道路の利用に対して「利用証明書」をダウンロードして保管をもとめることは業務上の負担を著しく増加させる恐れがあり、現実的な対応ではないと考えられますので、ETCの利用頻度が高い場合などにおいては、高速道路会社等(首都高速道路株式会社・東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)・阪神高速道路株式会社など)ごとに、任意の利用1件分の「利用明細」をダウンロードし保存しておけばすべての利用分についてインボイスの保存があるものとして仕入税額控除を受けることができるようになります。
たとえば、NEXCO中日本とNEXCO西日本を頻繁に利用する事業者であれば、それぞれの会社ごとに任意の1利用分の「利用証明書」をダウンロードして保存しておけばすべての利用分について「利用証明書」が保存してあるものとして取り扱われます。
これは年度ごとに1件ではないため、その1利用分「利用証明書」を保存しておけば年度が替わっても新しく「利用証明書」を新たにダウンロードする必要はありません。
(国税庁 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A「問103」参照)

(具体例-ETC料金の支払い)

当社の社員が得意先へ訪問するため首都高速道路を利用した。料金はETC決済で800円であった。なお弊社では首都高の利用頻度が多いため社員がETC利用するたびに利用証明書を入手することはしていないが、ETCクレジットカード利用明細書と、利用した高速道路会社等(首都高・NEXCO東日本)ごとに任意の一取引の利用証明書を併せて保存している

(仕訳-ETC利用時とインボイス)
借方 金額 貸方 金額
旅費交通費
(適格)
800 未払金 800

ETCクレジットカードを使用した高速道路利用に関しては、基本としてすべての取引につき、利用証明書の保存が必要となりますが、高速道路の利用頻度が高く、利用証明書のダウンロードが困難なときはクレジットカード利用明細書と、利用した高速道路会社等ごとに任意の一取引の利用証明書を併せて保存することにより、インボイスの保存があるものとし仕入税額控除の対象とすることができます。

スポンサードリンク