売買目的有価証券から子会社・関連会社株式への区分の変更

有価証券はその保有目的に従って取得時において『売買目的有価証券』『満期保有目的の債券』『子会社株式及び関連会社株式』『その他有価証券』に分類されます。これらの保有目的区分は原則的には変更することはできませんが、正当な理由がある場合には保有目的区分を変更することができます(金融商品会計に関する実務指針 第80項参照)。

売買目的有価証券として保有する銘柄の株式について、これを追加で取得することなどにより持ち分比率が上昇し、子会社株式または関連会社株式に該当することとなった場合には、その該当することとなった日の時価をもって、売買目的有価証券(流動資産)から子会社株式又は関連会社株式(投資その他の資産)へと振り替えます。
なお振替時の評価差額については、振替時の損益として、『有価証券運用損益』または『有価証券評価損益』勘定(営業外損益)を使って記帳することになります(金融商品会計に関する実務指針 第87項・設例8参照)。
また売買目的有価証券から子会社株式・関連会社株式への変更については、期中に変更の決定が行われ又は変更すべき事実の発生があったとしても、変更が期首(直前中間決算日又は直前四半期決算日の翌日を含む。)になされたものとみなして、振替の処理を行うこともできます(金融商品会計に関する実務指針 第81項参照)。

(具体例-売買目的有価証券から子会社・関連会社株式への保有区分の変更)

保有する以下のC社株式(売買目的有価証券)について、この度追加で取得し、当社のC社株式の持ち分比率が20%を超えることとなったため、これを売買目的有価証券から関連会社株式へ保有目的区分の変更を行った。変更時の仕訳を示しなさい(変更時に時価で振り替えるものとする。また追加取得分の仕訳は不要)。

(C社株式-従来より保有している分)
取得原価:2,000,000円(前期以前に取得)
前期末時価:1,900,000円
評価差額の取り扱い(切り放し法
振替時(追加取得時)の時価:2,100,000円

(計算過程)
売買目的有価証券の評価差額の取り扱いは切放し法によっていますので、当期期首および振替時(追加取得時)のC社株式の帳簿価額は前期末時価と一致します。売買目的有価証券から関連会社株式への振替は振替時の時価で行い、評価差額は当期の損益として計上しますので、評価差額を以下の算式よって求め、これを『有価証券運用損益』として計上します。

振替時の評価損益=振替時の時価2,100,000円-帳簿価額1,900,000円=200,000円(評価益)

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
関連会社株式 2,100,000 有価証券
(売買目的有価証券)
1,900,000
有価証券運用損益 200,000

売買目的有価証券から子会社株式・関連会社株式へ保有目的区分を変更する時は変更時の時価で振替を行います。本設問においては売買目的有価証券をあらわす『有価証券』勘定から『関連会社株式』勘定へ振替時の時価を使って振り替え、評価差額を『有価証券運用損益』として損益計上しています。

(関連項目)
有価証券の保有目的区分の変更(変更一覧表)
満期保有目的の債券の保有目的区分の変更について
その他有価証券から売買目的有価証券への保有目的区分の変更
売買目的有価証券からその他有価証券への保有目的区分の変更
子会社株式・関連会社株式からの保有目的区分の変更
その他有価証券(全部純資産直入法)から子会社・関連会社株式への変更
その他有価証券(部分純資産直入法)から子会社・関連会社株式への変更

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