親会社の設定した貸倒引当金の処理の基礎(連結会計)

2022年9月27日 at 11:52 PM

連結財務諸表を作成する際において、親会社と子会社との間に債権・債務がある場合にはこれを相殺消去することになりますが、債権に貸倒引当金が設定されている場合には、この貸倒引当金も消去することになります。

貸倒引当金を消去するための連結仕訳については、貸倒引当金を設定したのが親会社か子会社か(つまりは債権者は親会社か子会社か)によってことなりますが、ここでは親会社が貸倒引当金を設定した(親会社が債権者の)場合の処理についてご説明いたします。

たとえば、親会社の子会社に対する貸付金10,000円について、親会社の個別会計上で貸倒引当金100円が設定されていた場合の連結上必要な処理について考えていきましょう。
まず親会社の個別会計上では親会社は子会社に対する貸付金について以下のように貸倒引当金を設定していると考えられます。

(1.親会社の個別仕訳)
借方 金額 貸方 金額
貸倒引当金繰入 100 貸倒引当金 100

連結財務諸表を作成する際には、親会社と子会社との間に債権債務がある場合にはこれを相殺消去します。ここでは親会社が個別会計上で計上した「貸付金 10,000円」と子会社が個別会計上で計上した「借入金 10,000円」とを連結財務諸表を作成するに際して相殺消去します。

(2.連結修正仕訳-債権債務の相殺)
借方 金額 貸方 金額
借入金 10,000 貸付金 10,000

親会社は子会社に対する貸付金10,000円に対し貸倒引当金100円を設定しておりますが、連結会計は貸付金は相殺消去されていますので、当該貸付金に設定された貸倒引当金も相殺消去する必要があります。
相殺消去の方法は上記1の個別会計上の貸倒引当金設定に係る仕訳の逆仕訳を連結修正仕訳として行うことになりますので、連結会社間の債権債務を相殺するにあたり必要な連結修正仕訳は上記2の債権債務の相殺仕訳と合わせて以下のようになります。

(3.連結修正仕訳-貸倒引当金の消去)
借方 金額 貸方 金額
借入金 10,000 貸付金 10,000
貸倒引当金 100 貸倒引当金繰入 100

※ 設例を簡素化するため上記設例では税効果会計適用しておりません。

(具体例-親会社が計上した貸倒引当金の消去)

親会社A社は子会社S社に対する売掛金300,000円を有しており、個別会計上において売掛金残高に対し5%の貸倒引当金を設定している。
連結財務諸表を作成するために必要な連結修正仕訳を示しなさい(なお税効果会計は考慮しないものとする)。

(連結修正仕訳)
借方 金額 貸方 金額
買掛金 300,000 売掛金 300,000
貸倒引当金 15,000 貸倒引当金繰入 15,000

親会社と子会社との間に債権債務がある場合にはこれを相殺消去しますので、親会社の子会社に対する売掛金と子会社の親会社に対する買掛金も相殺消去します。
親会社は個別会計上において売掛金に対し貸倒引当金を設定しておりますので、売掛金を相殺消去する場合には当然にその売掛金に設定した貸倒引当金も消去します。
貸倒引当金は債権の5%を計上しているとの指示がありますので、消去する貸倒引当金は以下のように計算します。

親会社の子会社に対する売掛金300,000円×5%=15,000円

売掛金を譲渡した時の仕訳・会計処理

2021年8月24日 at 10:30 PM

売掛金などの営業債権も他社に譲渡することができます。
売掛金を譲渡した時の仕訳は、売掛金を貸方に記帳して売掛金を減額します。

電子記録債権の仕訳・勘定科目

2016年4月15日 at 5:47 AM

電子記録債権とは、電子記録債権法(2008年12月施行)により創設された、新しい類型の金銭債権をいいます。電子記録債権では、その発生又は譲渡について、電子記録(磁気ディスク等をもって電子債権記録機関が作成する記録原簿への記録事項の記録)を要件としており、

クレジット売掛金の仕訳・会計処理

2016年2月19日 at 11:04 AM

商品を顧客に販売する際、現金で決済するのではなく、クレジットカードなどにより決済される場合があります。

完成工事未収入金(売掛金)の仕訳・会計処理

2015年12月8日 at 7:56 PM

建設業における会計処理や仕訳においては一般の商品売買業などとは異なる勘定科目を使用します。

建設業会計における『完成工事未収入金』勘定とは、すでに完成工事高(売上高)に計上した工事に係る請負代金のうち、未だに未回収のものを処理する資産勘定をいい、一般商品売買における『売掛金』勘定に該当するものをいいます。

掛け取引(売掛金と買掛金)の仕訳・会計処理

2015年9月21日 at 10:44 PM

掛取引とは代金を後日にまとめて支払う約束(ツケ)で商品を売買することをいいます。

企業間取引において、日頃取引のある仕入先や得意先と取引を行う時などにおいては、代金を商品の受け渡しの都度決済するのではなく、一定期間ごとにまとめて決済することが一般的です。

人名勘定の仕訳・会計処理

2014年10月21日 at 7:46 PM

人名勘定とは、掛け取引を行った時の売上債権や仕入債務について、『売掛金・買掛金』勘定のかわりに使用される、取引相手の名前をそのまま勘定名として付した勘定のことをいいます。

当期に貸倒れ処理した債権が当期に回収された時の仕訳

2014年9月23日 at 3:28 PM

当期に貸倒れ処理した債権が当期に回収された場合は、貸倒処理を取消す仕訳(反対仕訳)を行います。
貸倒処理時に『貸倒損失』勘定を使って処理していた時は『貸倒損失』を取り消す処理を行い、『貸倒引当金』勘定を使って処理していた時は『貸倒引当金』を戻す仕訳を行います。

売掛金・買掛金の仕訳(基礎)

2014年6月9日 at 4:18 PM

後日に代金の決済を行う約束をして商品の売買を行うことを掛取引といいます。掛取引により商品を販売した時、得意先に対し代金を請求できる債権を持つことになりますが、これは売掛金といい『売掛金』勘定という資産勘定で記帳します。