棚卸資産の評価方法(払出単価の算定方法)について

商品や製品などの棚卸資産の取得原価は購入代価や製造原価に付随費用を加算して算定します(詳細は棚卸資産の取得原価の算定をご参照ください)。

一方、棚卸資産の評価方法とは、棚卸資産の払出単価の決定や期末在庫を評価する方法をいいます。同じ商品でも取得時期が異なれば取得原価も異なる場合があります。商品を販売すればどの単価の商品を販売したのかを決定することは、売上原価・原材料費あるいは期末在庫の評価にも結び付く重要な問題となります。
棚卸資産の評価に関する会計基準6-2では、棚卸資産の評価方法として以下の方法を挙げています。

(棚卸資産の評価方法)
個別法 取得原価の異なる棚卸資産を区別して記録し、その個々の実際原価によって商品の払出単価および期末棚卸資産の価額を算定する方法です。個別法は、絵画や骨董・不動産など個別性が強い棚卸資産の評価に用いられます。
先入先出法 最も古く取得されたものから順次払出しが行われ、期末棚卸資産は最も新しく取得されたものからなるとみなして商品の払出単価および期末棚卸資産の価額を算定する方法です。多くの場合、実際のモノの流れと最も近似性の高い方法であるといえます。
総平均法
(平均原価法)
一定期間ごとに、取得した棚卸資産の平均原価を算出し、この平均原価によって商品の払出単価および期末棚卸資産の価額を算定する方法をいいます。
移動平均法
(平均原価法)
商品を仕入れた都度、保有する棚卸資産の平均原価を算出し、この平均原価によって商品の払出単価および期末棚卸資産の価額を算定する方法をいいます。
売価還元法 値入率等の類似性に基づく棚卸資産のグループごとの期末の売価合計額に、原価率を乗じて求めた金額を期末棚卸資産の価額とする方法です。 売価還元法は、取扱品種の極めて多い小売業等の業種における棚卸資産の評価に適用されます。

なお、法人税法においては上記のほかに最終仕入原価法の適用が認められています(法人税法施行令第28条第1項参照)。最終仕入原価法は実務上簡便な方法であり、中小企業を中心に広く採用されている方法です。

最終仕入原価法 事業年度終了の時から最も近い時において取得をしたものの一単位当たりの取得価額をその一単位当たりの取得価額として期末棚卸資産の価格を評価する方法をいいます。

上記の売価還元法や最終仕入原価法は期末棚卸資産の評価方法であり、期中の払出価格は差額で算定することになります。
なお、棚卸資産の評価方法としての後入先出法(最も早く取得されたものから順次払出しが行われると仮定する評価方法)は、現在において、棚卸資産の評価に関する会計基準及び法人税法上ともに認められていません。

(関連項目)
継続記録法と棚卸計算法について
低価基準・低価法(棚卸資産の評価基準)に関する会計処理
基準棚卸法(棚卸資産の評価方法)の会計処理

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