先入先出法(棚卸資産の評価方法)の仕訳・会計処理

棚卸資産の評価方法(払出単価の決定方法)のうち、先入先出法とは、棚卸資産の評価に関する会計基準6-2において以下のように規定しています。

先入先出法 最も古く取得されたものから順次払出しが行われ、期末棚卸資産は最も新しく取得されたものからなるとみなして期末棚卸資産の価額を算定する方法

先入先出法の特徴は、先に仕入れた商品から順次出荷していく、との計算上の仮定を設定し、この仮定のもとで商品などの棚卸資産の払出単価や期末在庫評価を行う方法です。一般的には先に仕入れたものから順次出荷していくという計算上の仮定は、実際のモノの流れとほぼ一致することが多く、実際のモノの流れに則した方法であるといえます。
なお先入先出法はFIFO(First In First Outの略)と表現されることもありますので、このような用語が出てきたときにはご注意ください。

(具体例-先入先出法)

当社の商品の受入・払出の状況は以下の通りであった。商品有高帳を作成し、3月31日の決算整理仕訳を示しなさい。なお当社では、棚卸資産の評価方法として先入先出法を採用している。

(商品の受入・払出状況)
4月1日(期首):在庫なし
5月1日:仕入 200個(@100円)
6月1日:仕入 150個(@105円)
7月31日:売上 100個
10月9日:仕入 150個(@102円)
12月2日:売上 250個
3月22日:仕入 50個(@110円)

(計算過程)
先入先出法(FIFO)では、先に仕入れたものから順次払出を行うという計算上の仮定を設定し、この仮定に基づいて商品の払出単価を算定します。上記の設例において、7月31日の売上商品100個については、最も古い在庫である5月1日に仕入れた在庫200個のうち100個を払い出したものであるとして払出単価・在庫商品の評価を行うことになります。この方法における商品有高帳は以下の通りです。

(商品有高帳・先入先出法)
日付 概要 受入 払出 残高
5/1 仕入 200個(@100) 200個(@100)
6/1 仕入 150個(@105) 200個(@100)
150個(@105)
7/31 売上 100個(@100) 100個(@100)
150個(@105)
10/9 仕入 150個(@102) 100個(@100)
150個(@105)
150個(@102)
12/2 売上 100個(@100)
150個(@105)
150個(@102)
3/22 仕入 50個(@110) 150個(@102)
50個(@110)

期末在庫の評価は期末に残っている商品の仕入単価を使用しますので、期末在庫残高(期末商品棚卸高)は以下の金額となります。

期末商品棚卸高:150個×@102円+50個×@110円=20,800円

(仕訳・決算時)
借方 金額 貸方 金額
繰越商品 20,800 仕入 20,800

先入先出法のメリットとデメリット

上記の通り、先入先出法の特徴は、先に仕入れた商品から順次出荷していく、との計算上の仮定を設定し、この仮定のもとで商品などの棚卸資産の払出単価や期末在庫評価を行う方法です。一般的には先に仕入れたものから順次出荷していくという計算上の仮定は、実際のモノの流れとほぼ一致することが多く、実際のモノの流れに則した方法であるといえます。
先入先出法を採用するメリット・デメリットとしては一般的に以下の点があげられます。

メリット 先に仕入れたものから順次払い出すという計算上の仮定は実際のモノの流れとほぼ一致します。
また期末在庫は期末に近い時期に仕入れたもので構成されていますので、取得原価主義の範囲内において、物価変動時の棚卸資産の貸借対照表価額が時価に近似した価額となります。
デメリット インフレなど物価変動時において、古い単価による払出原価の算定は、収益費用の同一価格水準での対応を阻害し、結果、物価変動による多額の棚卸資産利益(インフレ利益など)が販売成績(売上総利益)に算入される。

(関連項目)
棚卸資産の取得原価の算定
棚卸資産の評価方法(払出単価の算定方法)について
後入先出法(棚卸資産の評価方法)の仕訳・会計処理

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