後入先出法(棚卸資産の評価方法)の仕訳・会計処理

棚卸資産の評価方法(払出単価の決定方法)のうち、後入先出法とは、以下のような方法をいいます(棚卸資産の評価に関する会計基準34-5参照)。

後入先出法 最も新しく取得されたものから棚卸資産の払出しが行われ、期末棚卸資産は最も古く取得されたものからなるとみなして、期末棚卸資産の価額を算定する方法

後入先出法(LILOということもあります、Last In First Outの略)の特徴は、後に仕入れた商品から順次出荷していく、との計算上の仮定を設定し、この仮定のもとで商品などの棚卸資産の払出単価や期末在庫評価を行う点にあります。当期の収益に対しては、これと同一の価格水準の費用を計上すべきであるという考え方のもとにおいて、この方法によれば、棚卸資産の払出時(販売時)の価格水準に最も近いと考えられる価額で収益と費用を対応させることができ、収益と費用を同一価格水準の対応させることにより、棚卸資産の保有損益を期間損益から排除し、より適切な期間損益の計算を行うことが可能となります。

しかし、実際のモノの流れは先に仕入れたものから順次払い出されるのが一般的であり、後入先出法の計算上の仮定は実際のモノの流れとは一致しません。また、棚卸資産の期末の数量が期首の数量を下回る場合には、これまで期間損益計算から排除されてきた保有損益が当期の損益に一気に計上され、その結果、期間損益が大きくゆがめられることになります。

後入先出法は上記のような問題点を抱え、また国際会計基準(IFRS)においてものその採用を認めないとしていることから、日本の現行の企業会計及び法人税法においても認められていません(棚卸資産の評価に関する会計基準34-5から12、法人税法施行令第28条第1項参照)。

(具体例-後入先出法)

当社の商品の受入・払出の状況は以下の通りであった。商品有高帳を作成し、3月31日の決算整理仕訳を示しなさい。なお当社では、棚卸資産の評価方法として後入出法を採用している。

(商品の受入・払出状況)
4月1日(期首):在庫なし
5月1日:仕入 200個(@100円)
6月1日:仕入 150個(@105円)
7月31日:売上 100個
10月9日:仕入 150個(@102円)
12月2日:売上 250個
3月22日:仕入 50個(@110円)

(計算過程)
後入先出法(LIFO)では、後から仕入れたものから順次払出を行うという計算上の仮定を設定し、この仮定に基づいて商品の払出単価を算定します。上記の設例において、7月31日の売上商品100個については、最も新しい在庫である6月1日に仕入れた在庫150個のうち100個を払い出したものであるとして払出単価・在庫商品の評価を行うことになります。この方法における商品有高帳は以下の通りです。

(商品有高帳・後入先出法)
日付 概要 受入 払出 残高
5/1 仕入 200個(@100) 200個(@100)
6/1 仕入 150個(@105) 200個(@100)
150個(@105)
7/31 売上 100個(@105) 200個(@100)
50個(@105)
10/9 仕入 150個(@102) 200個(@100)
50個(@105)
150個(@102)
12/2 売上 150個(@102)
50個(@105)
50個(@100)
150個(@100)
3/22 仕入 50個(@110) 150個(@100)
50個(@110)

期末在庫の評価は期末に残っている商品の仕入単価を使用しますので、期末在庫残高(期末商品棚卸高)は以下の金額となります。

期末商品棚卸高:150個×@100円+50個×@110円=20,500円

(仕訳・決算時)
借方 金額 貸方 金額
繰越商品 20,500 仕入 20,500

上記の通り、後入先出法は現行制度会計及び法人税法上認められている方法ではありません。上記具体例は後入先出法の理解を深めるための参考事例ととらえてください。

後入先出法のメリットとデメリット

後入先出法の特徴は、後から仕入れた商品から順次出荷していく、との計算上の仮定を設定し、この仮定のもとで商品などの棚卸資産の払出単価や期末在庫評価を行う方法です。これは先入先出法と逆の計算上の仮定を設定するものであり、先入先出法と後入先出法のメリット・デメリットとはセットで押させておくと理解が深まるものと考えられます。
後入先出法を採用するメリット・デメリットとしては一般的に以下の点があげられます。

メリット インフレなど物価変動時においても、収益費用の同一価格水準での対応させることが可能であり、物価変動による棚卸資産利益(インフレ利益など)を期間損益計算から排除することか可能である。
デメリット 後から仕入れたものから順次払い出すという計算上の仮定は実際のモノの流れとはほとんど一致しません。
また、期末在庫は期末から離れた時期に仕入れたもので構成されていますので、物価変動時の棚卸資産の貸借対照表価額が時価とが大きく乖離することになります。
さらに、棚卸資産の期末の数量が期首の数量を下回る場合には、これまで期間損益計算から排除されてきた保有損益が当期の損益に一気に計上され、その結果、期間損益が大きくゆがめられることになります

(関連項目)
棚卸資産の取得原価の算定
棚卸資産の評価方法(払出単価の算定方法)について
基準棚卸法(棚卸資産の評価方法)の会計処理

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