基準棚卸法(棚卸資産の評価方法)の会計処理

棚卸資産の評価方法のうち、基準棚卸法(恒常在高法、正常在高法、最低在高法、基準在高法、固定在高法などということもあります)とは、以下のような方法をいいます(連続意見書第四・第一、二6および注5参照)。

基準棚卸法 基準量(最低手持量)と基準価格とを定め、期末棚卸資産のうち、基準量については常にこの基準価額をもって評価する

この方法では、期末在庫が基準量を超える場合は超過分は取得原価で評価しますが、期末在庫が基準量を割っている場合には、その不足量を再調達原価等などの時価で評価し、基準価格から控除し、同額の食込補充引当金を設けます(連続意見書第四・注5参照)。

(基準棚卸法における期末在庫算定)
設例:基準量100個、基準価格@10円、期末在庫の取得価格@9円、期末在庫の再調達原価(時価)@11円の場合において
1.基準量<期末在庫量(120個)の場合
期末在庫評価額:基準価格100個×@10円+(120個-100個)×@9円=1,180円

2.基準量>期末在庫量(80個)の場合
期末在庫評価額:基準価格100個×@10円-(100個-80個)×@11円=780円

払出原価は差額で算定しますが、期首超過分・当期受入量の取得原価に基づいて先入先出法平均法等によって払出原価額を算定する場合においては、その払出原価額と差額で算定した払出原価額との間に差異がを生じることがありますが、これは売上原価差額として処理します(連続意見書第四・注5参照)。

基準棚卸法の特徴(メリット・デメリット)

基準棚卸法は後入先出法同様に棚卸資産の保有損益を期間損益計算から排除するのに適した方法であるといえます。特に期末在庫が期首在庫を下回る場合において、後入先出法では長期間の保有損益が一気に出現しますが、基準棚卸法では基準量を設定し、基準量を下回る場合、食い込み分の払出単価を再調達原価(時価)評価することにより、収益と費用との同一価格水準での対応関係が保たれ、保有損益の出現を抑えることが可能です。
ただし、払出単価の算定に時価が混入するため取得原価基準から逸脱することになり、また、基準量や価格の算定に恣意性の介入する恐れがあり、現行の企業会計・法人税法上はいずれもその採用は認められていません(連続意見書第四・第一・二6、棚卸資産の評価に関する会計基準6-2、法人税法施行令第28条第1項等参照)。

(関連項目)
棚卸資産の評価方法(払出単価の算定方法)について

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