所得控除の一覧

所得税法における所得控除をまとめました(平成27年1月1日現在)。

1.雑損控除

雑損控除の金額は以下の通りです(所得税法第72条参照)

(用語説明)

・損失の金額:本人もしくは生計を一にする配偶者・親族の有する資産に災害・盗難・横領によって受けた損害(保険や賠償によって補填される部分は除く)。
・災害関連支出:損失の金額のうち、災害に直接関連して支出をした金額。

(雑損控除)
区分 控除額
災害関連支出が5万円以下の場合 損失の金額-総所得金額等の10分の1
災害関連支出が5万円超の場合 損失の金額-以下のうちいずれか低い金額

(1)損失の金額-(災害関連支出の金額-5万円)
(2)総所得金額等の10分の1

損失の金額がすべて災害関連支出の場合 損失の金額-以下のうちいずれか低い金額

(1)5万円
(2)総所得金額等の10分の1

本人以外の有する資産について雑損控除を受けるためにはそのものの総所得金額等が基礎控除以下であることが必要です)。
なお総所得金額等とは、純損失、雑損失、その他各種損失の繰越控除後の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る配当所得の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額及び退職所得金額の合計額をいいます。

2.医療費控除

医療費控除の金額は以下の通りです(所得税法第73条参照)

(医療費控除)

支払った医療費(保険・損害賠償などで補填される金額を除く)-以下のうちいずれか低い金額

(1)10万円
(2)総所得金額等の100分の5

医療費控除の最大額は200万円です。
また、本人以外の配偶者や親族の医療費を負担した時も医療費控除の対象となります(配偶者・親族の所得要件はありません)。
(医療費控除のより詳細な計算例や対象項目に関しては、医療費控除の計算と対象もご参照ください)。

3.社会保険料控除

社会保険料控除の金額は以下の通りです(所得税法第74条参照)

(社会保険料控除)
区分 控除額

本人もしくは生計を一にする配偶者・親族の負担すべき以下のような社会保険料を支払った時

(1)健康保険
(2)国民健康保険
(3)長寿医療保険
(4)介護保険
(5)雇用保険
(6)国民年金
(7)農業者年金
(8)厚生年金
(9)船員保険
(10)公務員共済
(11)私学共済
(12)恩給納金

全額

配偶者や親族の所得要件はありませんが、1年を超える前納保険料に関しては納付期日の回数による按分計算が必要です。

4.小規模企業共済等掛金控除

社会保険料控除の金額は以下の通りです(所得税法第75条参照)

(小規模企業共済掛金控除)
区分 控除額

以下の小規模企業共済掛金等を支払った時

(1)小規模企業共済の掛金
(2)確定拠出年金法に規定する企業型又は個人型年金加入者掛金
(3)心身障害者扶養共済の掛金

全額

5.生命保険料控除

生命保険料控除の金額は以下の通りです(所得税法第76条参照)

(用語説明)
・新生命保険:平成24年1月1日以後に締結した生命保険契約等。
・旧生命保険:平成23年12月31日以前に締結した生命保険契約等

(1) 新生命保険に基づく場合の控除額
平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に基づく新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料の控除額は、それぞれ次の表の計算式に当てはめて計算した金額です(最大12万円)。

(新生命保険料控除)
区分 控除額
2万円以下 支払保険料等の全額
2万円超 4万円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
4万円超 8万円以下 支払保険料等×1/4+20,000円
8万円超 一律40,000円

(2) 旧契約に基づく場合の控除額
平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に基づく旧生命保険料と旧個人年金保険料の控除額は、それぞれ次の表の計算式に当てはめて計算した金額です(最大10万円)。

(旧生命保険料控除)
区分 控除額
2.5万円以下 支払保険料等の全額
2.5万円超 5万円以下 支払保険料等×1/2+12,500円
5万円超 10万円以下 支払保険料等×1/4+25,000円
10万円超 一律50,000円

新生命保険料・旧生命保険料・介護保険料は保険金等の受取人のすべてを、その保険料の払込みをする者又はその配偶者その他の親族とするものをいい、契約者が誰であるかは要件とされていません。
一方、新個人年金保険料・旧個人年金保険料は年金の受取を本人又は配偶者とし、保険料の支払いが10年以上の期間にわたり、年金の支払は、当該年金の受取人の年齢が六十歳に達した日以後10年以上の期間又は当該受取人が生存している期間にわたつて定期に行うものであること等の要件を満たす必要があります。
なお、新旧両方の生命保険がある場合、有利な方を選択するか、両方の適用を受けることができますが、両方の適用場合の控除額の限度は、生命保険・個人年金保険で各4万円が限度となります。また生命保険料控除全体で合計12万円までとなっています。
(なお、新旧両方の生命保険料の支払いがある場合の計算は、新生命保険料と旧生命保険料の両方の支払がある場合の計算方法をご参照ください)。

6.地震保険料控除

地震保険料控除の金額は以下の通りです(所得税法第77条参照)

(用語説明)
・旧長期損害保険契約等:平成18年12月31日までに締結した損害保険契約であり、平成19年1月1日以後にその損害保険契約等の変更をしておらず、満期返戻金等のあるもので保険期間又は共済期間が10年以上の契約。

(地震保険料控除)
区分 控除額
地震保険料 支払額が5万円以下の場合は全額、5万円超の場合は5万円。
旧長期損害保険料 以下の金額
(1)1万円以下:全額
(2)1万円超2万円以下:支払金額÷2+5千円
(3)2万円超:1万5千円
上記両方がある場合 それぞれの方法で計算した金額の合計額(最高5万円)

地震保険料控除は 居住者が、本人若しくは本人と生計を一にする配偶者・親族の有する家屋で、常時その居住の用に供するもの等を保険又は共済の目的とし、かつ、地震若しくは噴火又はこれらによる津波を直接又は間接の原因とする火災、損壊、埋没又は流失による損害によりこれらの資産について生じた損失の額をてん補する保険金又は共済金が支払われる損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料又は掛金を支払った場合において、本人の所得から控除されるものです(具体的な計算例は地震保険料控除の計算式と計算例をご参照ください)。

7.寄附金控除

寄附金控除の金額は以下の通りです(所得税法第78条参照)

(用語説明)
・特定寄附金:国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対する寄附金や政治活動に関する寄附金のうち、一定のもの等。

(寄附金控除)

寄附金控除額=次のいずれか低い金額-2千円

イ その年に支出した特定寄附金の額の合計額
ロ その年の総所得金額等の40%相当額

特定の市町村などに対する寄附である『ふるさと納税制度』についてはふるさと納税制度の概要と計算をご参照ください。

8.障害者控除

障害者控除の金額は以下の通りです(所得税法第79条参照)

障害者控除は、納税者自身又は控除対象配偶者や扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合に以下の金額が控除されます。

(障害者控除)
区分 控除額
障害者1人あたり 27万円
特別障害者1人当たり 40万円
控除対象配偶者又は扶養親族が特別障害者に該当し、かつ、納税者又は納税者の配偶者若しくは納税者と生計を一にする親族のいずれかとの同居を常況としている場合(同居特別障害者) 75万円

特別障害者控除の対象となるのは、常に精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態にある人や重度の知的障害者と判定された人、児童相談所・知的障害者更生相談所・精神保健福祉センター・精神保健指定医の判定により知的障害者と判定された人、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人で障害等級が1級と記載されている人、身体障害者手帳に身体上の障害がある人として記載されている人で障害の程度が1級又は2級と記載されている人などが当てはまります。

9.寡婦控除・寡夫控除

寡婦控除又は寡夫控除の金額は以下の通りです(所得税法第81条参照)

(寡婦控除)
区分 控除額

納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、次のいずれかに当てはまる人(寡婦)。

(1)夫と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人。この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族となっていない人に限られます。

(2)夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人。この場合は、扶養親族などの要件はありません。

27万円

寡婦に該当する人で、かつ次の要件のすべてを満たす人(特定寡婦)

(1)夫と死別し又は離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない一定の人

(2)扶養親族である子がいる人

(3)合計所得金額が500万円以下であること。

35万円

納税者本人が、原則としてその年の12月31日の現況で、次の三つの要件のすべてに当てはまる人(寡夫)

(1)合計所得金額が500万円以下であること。

(2)妻と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていないこと又は妻の生死が明らかでない一定の人であること。

(3)生計を一にする子がいること。
この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。

27万円

夫や妻とは民法上の婚姻関係にある人をいいます。
なお、「合計所得金額」とは、純損失、雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失及び特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除を適用する前の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額、退職所得金額の合計額をいいます。

10.勤労学生控除

勤労学生控除の金額は以下の通りです(所得税法第82条参照)

(勤労学生控除)
区分 控除額
納税者本人が、その年の12月31日の現況で、次の三つの条件のすべてに当てはまる人(勤労学生)が対象です。

(1)給与所得などの勤労による所得があること
(2)合計所得金額(給与所得控除を差し引いた後の金額等)が65万円以下で、しかも(1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
(3)特定の学校の学生、生徒であること

27万円

なお、上記の特定の学校とは、次のいずれかの学校をいいます。

イ.学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
ロ.国、地方公共団体、学校法人等により設置された専修学校又は各種学校のうち一定の課程を履修させるもの
ハ.職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程を履修させるもの

11.配偶者控除

配偶者控除の金額は以下の通りです(所得税法第83条参照)

(配偶者控除)
区分 控除額
納税者に12月31日の現況において、下記の条件にすべて当てはまる配偶者(控除対象配偶者といいます)がいる場合、一定の金額の所得控除が受けられます。

(1)民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。
(2)納税者と生計を一にしていること。
(3)年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)。
(4)青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

38万円
上記の控除対象配偶者のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人(老人控除対象配偶者)がいる場合に受けられる控除。 48万円

12.配偶者特別控除

配偶者特別控除の金額は以下の通りです(所得税法第83条の2参照)

配偶者の合計所得金額が38万円を超えるため、配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、以下の一定の金額の所得控除が受けられます。

(配偶者特別控除-平成30年(2018年)分以降)
納税者本人の所得が
900万円以下の場合
納税者本人の所得が
950万円以下の場合
納税者本人の所得が
1000万円以下の場合
配偶者の合計所得
金額が38万円超
85万円以下
38万円 26万円 13万円
85万円超
90万円以下
36万円 24万円 12万円
90万円超
95万円以下
31万円 21万円 11万円
95万円超
100万円以下
26万円 18万円 9万円
100万円超
105万円以下
21万円 14万円 7万円
105万円超
110万円以下
16万円 11万円 6万円
110万円超
115万円以下
11万円 8万円 4万円
115万円超
120万円以下
6万円 4万円 2万円
120万円超
123万円以下
3万円 2万円 1万円
123万円超 なし なし なし

配偶者特別控除を受けるための条件は以下の通りです。

(1)控除を受ける本人の合計所得金額が1千万円以下であること。

(2)配偶者が、次の五つ条件のすべてに当てはまること。

イ.民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)。
ロ.納税者と生計を一にしていること。
ハ.青色申告者の事業専従者としてその年を通じ一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
ニ.ほかの人の扶養親族となっていないこと。
ホ.年間の合計所得金額が38万円超123万円以下であること。

(配偶者特別控除の具体的な計算例は、配偶者特別控除の計算をご参照ください)。

13.扶養控除

扶養控除の金額は以下の通りです(所得税法第84条・85条参照)

本人に控除対象扶養親族がいる場合、以下の金額が控除されます。

(扶養控除)
区分 控除額
一般の控除対象扶養親族
(扶養親族のうち16歳以上の者)
38万円
特定扶養親族
(扶養親族のうち19歳以上23歳未満の者)
63万円
老人扶養親族
(扶養親族のうち70歳以上の者)
48万円
同居老親等
(老人扶養親族のうち、本人・配偶者の直系尊属であり、これらの者と同居している者)
58万円

※ 年齢はその年の12月31日の現況で判断します。

なお、扶養親族とは、その年の12月31日(納税者が年の中途で死亡し又は出国する場合は、その死亡又は出国の時)の現況で、次の四つの要件のすべてに当てはまる人です。

(1)配偶者以外の親族又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
(2)納税者と生計を一にしていること。
(3)年間の合計所得金額が38万円以下であること。
(4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

上記のうち、16歳以上の者を『控除対象扶養親族』、16歳未満ものを『年少扶養親族』といいます。年少扶養親族は子ども手当制度の対象となるため、扶養控除の対象とはなりません(障害者控除は受けることができます)。

(扶養控除の具体的な計算例などは扶養控除の対象と計算例をご参照ください。)

14.基礎控除

基礎控除の金額は以下の通りです(所得税法第86条参照)

(基礎控除)
一律で38万円

15.所得控除の順番について

雑損控除と医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除又は基礎控除とを行う場合には、まず雑損控除から行うものとされています。
またこれらの控除は総所得金額、山林所得金額又は退職所得金額から順次控除します(所得税法第87条参照)。

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