扶養控除の対象と計算例

納税者本人に、所得が一定金額以下の家族がいるなどの場合、所得税の計算上において所得金額の控除を受けることができます。これを扶養控除といいます。
扶養控除の金額は以下の通りです(所得税法第2条第1項33号-34号の4、第84条・85条、租税特別措置法第41条の16等参照)。

区分 控除額
一般の控除対象扶養親族
(扶養親族のうち16歳以上の者)
38万円
特定扶養親族
(扶養親族のうち19歳以上23歳未満の者)
63万円
老人扶養親族
(扶養親族のうち70歳以上の者)
48万円
同居老親等
(老人扶養親族のうち、本人・配偶者の直系尊属であり、これらの者と同居している者)
58万円

※ 年齢はその年の12月31日の現況で判断します。

なお、扶養親族とは、その年の12月31日(納税者が年の中途で死亡し又は出国する場合は、その死亡又は出国の時)の現況で、次の四つの要件のすべてに当てはまる人です。

(1)配偶者以外の親族又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること。
(2)納税者と生計を一にしていること。
(3)年間の合計所得金額が38万円以下であること。
(4)青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

上記のうち、16歳以上の者を『控除対象扶養親族』、16歳未満ものを『年少扶養親族』といいます。年少扶養親族は児童手当制度(旧子ども手当)の対象となるため、扶養控除の対象とはなりません(障害者控除は受けることができます)。

また夫婦共働きや3世帯家族など、生計を一にする親族に所得税の納税者が複数いる場合、扶養控除を受けることができるのはいずれか1人の納税者だけとなりますのでご注意ください(所得税法施行令第219条参照)。

ケース1-核家族世帯

納税者(合計所得金額500万円)には、以下の家族(生計を一にする親族)がいます。扶養控除額を算定しなさい。

妻(50歳パート・合計所得30万円)
子A(20歳大学生・合計所得金額0円)
子B(18歳会社員・合計所得金額150万円)
子C(12歳中学生・合計所得金額0円)

まず、家族を一人ずつ上記の表をもとに扶養親族に当てはまるか、扶養親族となる場合、控除額はいくらかを算定していきます。

(1)妻:妻(配偶者)は配偶者控除の対象となるため、扶養親族にはなりません。
(2)子A:子Aは合計所得金額が38万円以下であり、かつ19歳以上23歳未満の者となりますので特定扶養親族となります。したがって控除額は63万円となります。
(3)子B:子Bは合計所得金額が150万円(※1)であり、扶養親族にはなりません。
(4)子C:子Cは合計所得金額が38万円以下であるため扶養親族になりますが、16歳未満のため年少扶養親族となります。年少扶養親族は児童手当の対象となるため扶養控除の額は0円となります。

したがって、当該納税者の扶養控除額は以下の通りとなります。
妻0円+子A63万円+子B0円+子C0円=63万円

※1 サラリーマンなどの場合、合計所得金額は給与金額から給与所得控除を差し引いた残額となります(つまり合計所得金額は給与額とは異なります)。

ケース2-三世帯家族

納税者(合計所得金額500万円)には、以下の同居家族(生計を一にする親族)がいます。扶養控除額を算定しなさい。

妻(50歳専業主婦・合計所得0円)
母(85歳・合計所得金額0円・4月1日に他界)
子(17歳高校生・合計所得金額0円)

まず、家族を一人ずつ上記の表をもとに扶養親族に当てはまるか、扶養親族となる場合、控除額はいくらかを算定していきます。

(1)妻:妻(配偶者)は配偶者控除の対象となるため、扶養親族にはなりません。
(2)母:母は年の途中において他界しております。この場合、他界時の現況で判断しますので、合計所得金額が38万円以下であり、かつ70歳以上の者となりますので老人扶養親族となります。さらに、納税者本人の親(直系尊属)であり、同居(※2)しておりますので同居老親となります。したがって控除額は58万円となります。
(3)子:子は合計所得金額が0円であり、扶養親族となります。さらに扶養親族のうち16歳以上の者(19歳未満)となりますので控除対象扶養親族となり、控除額は38万円となります。

したがって、当該納税者の扶養控除額は以下の通りとなります。
妻0円+母58万円+子38万円=96万円

※2 病気治療などのため入院している場合はたとえ長期入院であっても同居と判定されます。ただし、老人ホーム等へ入所している場合は同居とは認められません。

(関連項目)
所得控除の一覧

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