新生命保険料と旧生命保険料の両方がある場合の控除額の計算方法

生命保険料控除とは、納税者が本人や配偶者・親族などを受取人とする生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料を支払った場合に、支払った金額の一部が所得から控除される制度をいいます(所得税法第76条参照)。

生命保険料控除の対象となる生命保険料等については、以下の2つに分類し所得控除額を算定することになります。

(新生命保険料契約等・旧生命保険契約等)
・新生命保険契約等:平成24年1月1日以後に締結した生命保険契約等。
・旧生命保険保険契約等:平成23年12月31日以前に締結した生命保険契約等

(1) 新生命保険に基づく場合の控除額
平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に基づく新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料の控除額は、それぞれ次の表の計算式に当てはめて計算した金額です(最大で合計12万円まで)。

(新生命保険料控除)
区分 控除額
2万円以下 支払保険料等の全額
2万円超 4万円以下 支払保険料等×1/2+10,000円
4万円超 8万円以下 支払保険料等×1/4+20,000円
8万円超 一律40,000円

(2) 旧契約に基づく場合の控除額
平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に基づく旧生命保険料と旧個人年金保険料の控除額は、それぞれ次の表の計算式に当てはめて計算した金額です(最大10万円)。

(旧生命保険料控除)
区分 控除額
2.5万円以下 支払保険料等の全額
2.5万円超 5万円以下 支払保険料等×1/2+12,500円
5万円超 10万円以下 支払保険料等×1/4+25,000円
10万円超 一律50,000円

新生命保険料・旧生命保険料・介護医療保険料は保険金等の受取人のすべてを、その保険料の払込みをする者又はその配偶者その他の親族とするものをいい、契約者が誰であるかは要件とされていません。
一方、新個人年金保険料・旧個人年金保険料は年金の受取を本人又は配偶者とし、保険料の支払いが10年以上の期間にわたり、年金の支払は、当該年金の受取人の年齢が六十歳に達した日以後10年以上の期間又は当該受取人が生存している期間にわたって定期に行うものであること等の要件を満たす必要があります。

新生命保険料と旧生命保険料の両方の支払いがある場合

新旧両方の生命保険がある場合、生命保険料控除の算定は有利な方を選択するか、両方の適用を受けることができますが、両方の適用場合の控除額の限度は、生命保険・個人年金保険で各4万円であり、また控除額の限度は合計で12万円までとなっています(所得税法第76条第1項から第4項参照)。

(ケース1-新生命保険料と旧生命保険料との支払いがある場合)

本年中の新生命保険料の支払額は4万円、旧生命保険料の支払額は10万円(介護医療保険料・個人年金保険料の支払いはない)の場合

(計算過程)
(1) 新生命保険料だけを適用する場合:3万円(4万円×1/2+10,000円)

(2) 旧生命保険料だけを適用する場合:5万円(10万円×1/4+25,000円)

(3) 両方の適用を受ける場合:4万円((1)+(2)=8万円→限度額4万円)

したがってこのケースでは旧生命保険料だけ生命保険料控除の対象とする事により控除額が一番大きくなりますので(5万円)、旧生命保険料だけを使って生命保険料控除を算定します(このケース1の設例の数値は国税庁HPにも記載しているものと同じです)。

(ケース2-旧生命保険料等と介護医療保険料との支払いがある場合)

本年中の旧生命保険料の支払額は10万円、旧個人年金保険料の支払額は10万円、介護医療保険料支払額が8万円の場合

(計算過程)
(1) 旧生命保険料の控除額:5万円(10万円×1/4+25,000円)

(2) 旧個人年金保険料の控除額:5万円(10万円×1/4+25,000円)

(3) 介護医療保険料の控除額:4万円(8万円×1/4+20,000円)

(4) 本年度の生命保険料控除:12万円((1)+(2)+(3)=14万円→限度額12万円)

本ケースの場合、旧生命保険料・旧個人年金保険料・介護医療保険料の控除額の合計が12万円をこえています。生命保険料控除の限度額は最大で12万円のため、控除額は12万円となります。

(関連項目)
その他の所得控除の一覧

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