配偶者特別控除の控除額と計算例(平成30年分以降対応)

このページの記述は平成30年分以後の所得税の申告に適応しています(平成29年以前の制度については「配偶者特別控除の計算(平成29年以前分)」をご参照ください。

1.配偶者特別控除を受けるための要件

納税者の妻や夫などの配偶者の所得金額が38万円以下(給与のみの場合103万円以下)の場合、納税者は配偶者控除として自らの所得金額から38万円の控除をうけることができます。

一方で、配偶者の所得金額が38万円を1円でも超えるような場合は配偶者控除を受けることはできないとなると不合理な結果をまねくことになりかねません。
よって、配偶者の合計所得金額が38万円を超えるような場合であっても一定の要件をみたすような場合には、納税者本人や配偶者の所得金額(2人の稼ぎ)に応じて、一定の金額の所得控除が受けられるようにした制度があり、これを配偶者特別控除といいます。配偶者特別控除を受けるためには納税者本人や配偶者について以下の条件をすべて満たすことが必要です(所得税法第83条の2、所得税法基本通達2-46等参照)。

(配偶者特別控除の要件)
1.納税者本人の合計所得金額が1千万円以下であること
2.配偶者は生計を一にする戸籍上の配偶者であること(内縁者は含みません)
3.配偶者は事業専従者でないこと
4.配偶者は他の納税者の扶養親族でないこと
5.配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下であること。

合計所得金額とは、給与所得控除後の給与所得など、その年の所得金額の合計額をさします(お勤めの方でその年の収入がお給料しかない場合は、お給料の額面から給与所得控除という一定の金額を差し引いて計算します)。
給与所得控除とは、税金計算上において給与収入から概算経費として差し引かれる金額の事であり、給与収入が162.5万円以下の場合は一律に65万円と決まっています。たとえば妻のパートの給与が103万円の場合、合計所得金額(ここでは給与所得のみ)は103万円-65万円=38万円となります(給与収入だけの場合、給与収入が103万円超201万円以下の場合、上記の要件に当てはまるため配偶者特別控除の対象となります)。

なお、配偶者特別控除は年末調整の対象となりますので、勤務先に「給与所得者の配偶者控除等申告書」を提出する事によってうけることができます(所得税法第190条・第195条の2参照)。
平成29年以前の「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」は平成30年以降は「給与所得者の保険料控除申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」との2つの様式に分かれており、平成29年以前とは年末調整の必要書類が一部異なりますのでご注意ください。

配偶者特別控除額の計算と具体例

配偶者特別控除は、納税者本人及び配偶者の所得金額に応じて控除額が異なります。納税者本人及び配偶者のそれぞれの所得金額に対する控除額は以下の通りです。

(配偶者特別控除-平成30年(2018年)分以降)
納税者本人の所得が
900万円以下の場合
納税者本人の所得が
950万円以下の場合
納税者本人の所得が
1000万円以下の場合
配偶者の合計所得
金額が38万円超
85万円以下
38万円 26万円 13万円
85万円超
90万円以下
36万円 24万円 12万円
90万円超
95万円以下
31万円 21万円 11万円
95万円超
100万円以下
26万円 18万円 9万円
100万円超
105万円以下
21万円 14万円 7万円
105万円超
110万円以下
16万円 11万円 6万円
110万円超
115万円以下
11万円 8万円 4万円
115万円超
120万円以下
6万円 4万円 2万円
120万円超
123万円以下
3万円 2万円 1万円
123万円超 なし なし なし

上記の表の読み方ですが、納税者本人の所得が900万円以下で配偶者の所得が100万円の場合、「納税者本人の所得が900万円以下の場合」の縦の列から、配偶者の所得が100万円に該当する行をさがします。この場合は26万円が配偶者特別控除の金額となります。

(ケース-配偶者特別控除の対象となる場合)

夫の給与収入は750万円、妻のパート収入が160万円の場合(夫および妻ともに給与以外の収入はない)。

(計算過程)
(1)納税者本人の要件:夫の給与収入は750万円であり、この場合の給与所得控除額は195万円、合計所得金額は555万円となります。これは1,000万円を下回るため要件を満たします。

(2) 配偶者の要件:妻の給与収入は160万円であり、この場合の給与所得控除額は65万円、合計所得金額は95万円となります。これは38万円超123万円以下となるため要件を満たします。

(3) 配偶者特別控除額:納税者本人の合計所得金額が900万円以下、配偶者の合計所得金額が95万円(90万円超95万円以下)の場合の配偶者特別控除額は上記の表より、31万円となります。

なお、給与所得控除額の計算は給与所得控除額の算定をご参照ください(以下同様)

(ケース-配偶者特別控除の対象とならない場合1)

夫の給与収入は750万円、妻のパート収入が220万円の場合(夫および妻ともに給与以外の収入はない)。

(計算過程)
(1)納税者本人の要件:夫の給与収入は750万円であり、この場合の給与所得控除額は195万円、合計所得金額は555万円となります。これは1,000万円を下回るため要件を満たします。

(2) 配偶者の要件:妻の給与収入は220万円であり、この場合の給与所得控除額は84万円、合計所得金額は136万円となります。これは123万円超となるため配偶者特別控除の要件を満たしません。

(3) 配偶者特別控除額:0円(配偶者の合計所得金額が要件を満たさないため、対象外)

(ケース-配偶者特別控除の対象とならない場合2)

夫の給与収入1,200万円、妻のパート収入が150万円の場合(夫および妻ともに給与以外の収入はない)。

(計算過程)
(1)納税者本人の要件:夫の給与収入は1,500万円であり、この場合の給与所得控除額は220万円、合計所得金額は1,280万円となります。これは1,000万円を超えるため要件を満たしません。

(2) 配偶者特別控除額:0円(納税者本人の合計所得金額が要件をみたさないため、対象外)

(関連項目)
所得控除の一覧

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