給与支払時の源泉所得税に関する仕訳・勘定科目

従業員や役員に対し給与を支払う場合、給与の支払額(社会保険料控除後の金額)に対し源泉所得税額を算定し、これを給与から差し引き、差引後の金銭を従業員に支給する必要があります。
従業員などの給与から差し引いた源泉所得税額については、会社はいったんこれを預かり、翌月などにおいて納付することになりますので、『預り金』勘定を使って記帳します。

たとえば、従業員の給与10,000円に対し、源泉所得税1,000円を差し引いて残額の9,000円を現金で支給した場合の仕訳は以下のようになります。

(仕訳-給与の支払時)
借方 金額 貸方 金額
給与 10,000 現金 9,000
預り金 1,000

なお、従業員の給与からは源泉所得税のほか、住民税や社会保険・労働保険なども差し引かれることになりますので、これらの金額を区分するため、『預り金』勘定に補助科目を設けたり、『所得税預り金』勘定などの勘定科目を使用し、預り金の内容ごとに金額を管理することもあります。

源泉所得税は支払った月の翌月10日までに(または1月と7月にまとめて)納付することになります。従業員よりあずかった源泉所得税を納付した時は『預り金』勘定を減額し、これを決済します。

(仕訳-納付時)
借方 金額 貸方 金額
預り金 1,000 現金 1,000

源泉所得税は各従業員などに対する給与の支払額(社会保険料などの支払額を控除した後の金額)から「給与所得の源泉徴収税額表」というものを使って算定することになります。また、給与以外にも個人である税理士や弁護士、会計士、デザイナーなどに報酬を支払う際にも報酬金額から源泉所得税を差し引いてこれを納付する必要があります(詳細は税理士・弁護士・司法書士など士業に報酬・顧問料を支払った時の仕訳をご参照ください)。

(具体例-給与支払時の源泉所得税)

1.2月25日において従業員や役員の預金口座へ普通預金口座より給与を支払った。なお給与金額および源泉所得税や住民税・社会保険料などの控除科目の金額は以下の通りである(当社では従業員に対し給与を支払った際の源泉所得税や社会保険料などは補助科目を設けて管理している)。

給与金額:1,000,000円
健康保険:50,000円
厚生年金:80,000円
雇用保険:10,000円
源泉所得税:100,000円
住民税:60,000円

(仕訳-給与支払時)
借方 金額 貸方 金額
給与 1,000,000 普通預金 700,000
預り金(健康保険) 50,000
預り金(厚生年金) 80,000
預り金(雇用保険) 10,000
預り金(所得税) 100,000
預り金(住民税) 60,000

2.3月10日において、普通預金口座より上記の源泉所得税を納付した。

(仕訳-納付時)
借方 金額 貸方 金額
預り金(所得税) 100,000 普通預金 100,000

(関連項目)
原稿料・デザイン料・講演料などを支払った時の仕訳
住民税を特別徴収した時の仕訳・勘定科目
源泉所得税を税務署へ納付した時の仕訳・勘定科目
源泉所得税・住民税特別徴収の納付期限
健康保険・厚生年金(社会保険料)の仕訳・勘定科目
アルバイトやパートタイマーへ給与を支払った時の勘定科目

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