税理士・弁護士・司法書士など士業に報酬・顧問料を支払った時の仕訳
税理士・会計士・弁護士や司法書士・行政書士などに報酬や顧問料を支払った時は『支払手数料』または『支払報酬』などの勘定科目を使用して記帳します。
なお、士業や書士業に対し報酬・顧問料などを支払う場合、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収することが必要となります。源泉徴収税率は士業ごと別途定められており、以下の通りになっております(所得税法第204条・205条等参照。従業員に対する給与の支払いのない個人事業主やサラリーマンなどは源泉徴収義務はありません)。
1回の支払金額 | 源泉徴収税率 |
100万円以下 | 10.21% |
100万円超 | 100万円超の部分は20.42% 100万円以下の部分は10.21% |
1回の支払金額 | 源泉徴収税率 |
支払金額から1万円を差し引いた金額に対し | 10.21% |
1回の支払金額 | 源泉徴収税率 |
- | 源泉徴収の必要なし |
報酬に消費税が含まれている場合であっても、消費税込の金額が源泉徴収の対象となりますので、税込金額に上記の源泉徴収税率を乗じますが、請求書などにおいて報酬と消費税額とが明確に区分されている場合は、税抜金額を源泉徴収の対象とすることができます(平成元年直法6-1、平成26年課法9-1改正参照)。
また、上記の「1回の支払金額」は現実に1回に支払われる金額をいいますので、たとえば120万円の弁護士報酬を60万円ずつ分割で支払い場合は、各60万円の支払いに対し10.21%を乗じた金額を徴収する事になります(所得税基本通達205-1)。
なお、源泉徴収税率は平成25年より復興特別所得税を含んだ税率へと変更になっております(例:10%→10.21%)のでご注意ください。
(具体例1-弁護士報酬(100万円以下)・源泉所得税)
当社の訴訟を担当した弁護士に対し、50万円の報酬を小切手で支払った。
(計算過程)
源泉税:500,000円×10.21%=51,050円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
支払手数料 | 500,000 | 当座預金 | 448,950 |
- | - | 預り金 | 51,050 |
報酬から天引きした源泉所得税等は、原則として翌月10日までに納付することが必要となります(以下同様)。
(具体例2-弁護士報酬(100万円超)・源泉所得税)
当社の訴訟を担当した弁護士に対し、150万円の報酬を小切手で支払った。
(計算過程)
源泉税:1,000,000円×10.21%+500,000円×20.42%=204,200円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
支払手数料 | 1,500,000 | 当座預金 | 1,295,800 |
- | - | 預り金 | 204,200 |
報酬が100万円を超えていますので、100万円以下の部分は10.21%、それを超える部分は20.42%で源泉徴収されています。
(具体例3-司法書士報酬・源泉所得税)
当社の登記事務を担当した司法書士に対し、20万円の報酬を小切手で支払った。
(計算過程)
源泉税:(200,000円-10,000円)×10.21%=19,399円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
支払手数料 | 200,000 | 当座預金 | 180,601 |
- | - | 預り金 | 19,399 |
司法書士・土地家屋調査士・海事代理士に支払う報酬は、支払額から1万円を控除した金額に源泉徴収税率を乗じて源泉徴収税額を算定します。
(具体例4-税理士報酬・個人事業主)
個人事業主が当年度の確定申告報酬として税理士に10万円を現金で支払った。なお、当該個人事業主は使用人等は採用しておらず、「給与支払事務所等の開設届出書」は提出していません。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
支払手数料 | 100,000 | 現金 | 100,000 |
当該個人事業主は使用人等を採用しておらず、「給与支払事務所等の開設届出書」の提出も行っていないため源泉徴収義務者には該当しません。よって士業に報酬や顧問料などを支払った時でも源泉徴収をする義務はありません。
(関連項目)
行政書士に報酬を支払った時の仕訳・勘定科目
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