住民税を特別徴収した時の仕訳・勘定科目

従業員や役員に対し給与を支払う場合、給与の支払額から住民税の特別徴収税額を差し引き、差引後の金銭を従業員に支給する必要があります。
従業員などの給与から差し引いた住民税については、会社はいったんこれを預かり、翌月などにおいて納付することになりますので、『預り金』勘定を使って記帳します。

たとえば、従業員の給与200,000円に対し、住民税の特別徴収税額10,000円を差し引き、のこりの190,000円を現金で支給した場合の仕訳は以下のようになります。

(仕訳-給与の支払時)
借方 金額 貸方 金額
給与 200,000 現金 190,000
預り金 10,000

なお、従業員や役員などに支給する給与からは住民税のほか、源泉所得税や社会保険・労働保険なども差し引かれることになりますので、これらの金額を区分するため、『預り金』勘定に補助科目を設けたり、『住民税預り金』勘定などの勘定科目を使用し、預り金の内容ごとに金額を管理することもあります。

従業員の給与などから徴収した住民税は、給与を支払った月の翌月10日までに従業員の居住する市町村などに納付することになります。従業員よりあずかった住民税を納付した時は『預り金』勘定を減額し、これを決済します。

(仕訳-住民税納付時)
借方 金額 貸方 金額
預り金 10,000 現金 10,000

住民税は従業員などの前年度の所得をもとに算定された税額を毎月の給与から徴収するものであり、各年の税額は市町村などより毎年5月末までに通知されることになります(特別徴収税額の通知書)。
これを受け取った会社は従業員などに支給する給与から、特別徴収税額の通知書に記載されている金額を徴収し、これを翌月の10日までに各市町村などに対して納付することになります。

(具体例-給与支払時の住民税の徴収)

1.10月25日において従業員や役員の預金口座へ普通預金口座より給与を支払った。なお給与金額および住民税や源泉所得税・社会保険料などの控除科目の金額は以下の通りである(当社では従業員に対し給与を支払った際の住民税や源泉所得税・社会保険料などは補助科目を設けて管理している)。

給与金額:3,000,000円
健康保険:150,000円
厚生年金:150,000円
雇用保険:50,000円
源泉所得税:300,000円
住民税:150,000円

(仕訳-給与支払時)
借方 金額 貸方 金額
給与 3,000,000 普通預金 2,200,000
預り金(健康保険) 150,000
預り金(厚生年金) 150,000
預り金(雇用保険) 50,000
預り金(所得税) 300,000
預り金(住民税) 150,000

2.翌月の11月10日において、普通預金口座より上記の住民税を市町村に納付した。

(仕訳-納付時)
借方 金額 貸方 金額
預り金(住民税) 150,000 普通預金 150,000

(関連項目)
給与支払時の源泉所得税に関する仕訳・勘定科目
源泉所得税・住民税特別徴収の納付期限
健康保険・厚生年金(社会保険料)の仕訳・勘定科目

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