前払金(前渡金)・前受金の仕訳

商品売買において、購入代金・販売代金の一部を先に前払い・前受けすることがあります。この時、購入代金の一部を先に支払ったときは『前払金』勘定または『前渡金』勘定という資産勘定を使って記帳し、逆に販売代金の一部を先に受け取ったときは『前受金』勘定という負債勘定を使って記帳します。
これらの勘定は商品の受け渡し時に商品代金として充当されます。

(具体例-前払金・前渡金)

1.100,000円の商品仕入に先立って購入代金の10%を現金で前払した。

(仕訳・前払時)
借方 金額 貸方 金額
前払金 10,000 現金 10,000

2.後日、購入代金の残りの金額を現金で支払い商品を受け取った。

(仕訳・商品売買時)
借方 金額 貸方 金額
仕入 100,000 現金 90,000
前払金 10,000
(具体例-前受金)

1.100,000円の商品販売に先立って販売代金の10%を現金で受け取った。

(仕訳・前受け時)
借方 金額 貸方 金額
現金 10,000 前受金 10,000

2.後日、販売代金の残りの金額を現金で受け取り商品を引き渡した。

(仕訳・商品売買時)
借方 金額 貸方 金額
現金 90,000 売上 100,000
前受金 10,000

商品売買などに伴って発生した前払金・前受金は、企業の主たる営業活動に伴い発生するものであるため、正常営業循環基準により流動資産・流動負債として表示されます。

前払金・前受金と前払費用・前受収益との違い

前払金・前受金と似た勘定科目として前払費用・前受収益というものがあります。
この両者の違いは、前払費用・前受収益という勘定科目は継続的な役務提供契約が存在する場面において、代金の支払いは行ったにもかかわらず、いまだに提供されていないサービスに対応するものをいい、前払金・前受金はそれ以外のものということになります。
継続的な役務提供(サービス提供)契約、たとえば事務所の賃貸借契約や保険契約など継続的なサービス提供契約において、家賃や保険料を前払い・前受けした時は『前払費用』『前受収益』の勘定科目を使用し、それ以外の場合はすべて『前払金』『前受金』勘定を使うと理解していただければよろしいでしょう。

(関連項目)
売掛金・買掛金の仕訳(基礎)

スポンサードリンク