荷為替の取組み・引受けに関する仕訳・会計処理

海外の得意先などに船便などで商品を発送した時、商品の到着を待って代金を回収していたのでは売主の代金回収が大幅に遅れることになります。このようなときに売主は早期に代金を回収する目的で、運送業者から受け取った船荷証券(貨物代表証券といいます。商品の引換券のようなものです)などを担保に、自己受為替手形を振出し、これを銀行で割り引くことがあります。これを荷為替の取り組みといい、この時に振り出された手形を荷為替といいます。

その後、銀行で割り引かれた荷為替は、銀行によって買主に呈示されます。買主は商品を受け取るためにはこの荷為替を引き受ける必要があり、買主が荷為替を引き受けることにより、貨物代表証券が買主に引き渡され、買主は運送業者から商品を受け取ることができるようになります(これを買主の立場から見た場合、荷為替の引き受けといいます)。
荷為替取引では、上記のようにそれぞれ別々の3人の登場人物おります。その関係をまとめると以下のようになります。

(荷為替の取組みと引受けに関する登場人物)
売主 商品を発送し、代金の早期回収を図るため運送業者から受取った貨物代表証券(商品の引換券)を担保に自己受為替手形を振出し、これを銀行で割り引きます。
銀行 売主から担保として受け取った貨物代表証券を買主に呈示し、買主に対し為替手形(荷為替)の引受・支払をもとめます。
買主 銀行から貨物代表証券の呈示を受け、荷為替の引受けと引き換えに貨物代表証券を受取り、貨物代表証券と引き換えに商品を受け取ります。

通常の場合、荷為替の取組み額は売上額の80%前後となっており、残額は売掛金など掛債権となります。

(具体例1-売主側・荷為替の取組み)

A社は遠方の取引先B社に対し商品10,000円を販売し、商品を発送した。その際、代金の早期回収を図るため、運送業者から受け取った船荷証券(貨物代表証券)を担保に、額面金額8,000円の荷為替を取組み、割引料100円を差し引かれた金額を受取り、当座預金に入金した。

(仕訳・商品販売と荷為替の取組み時)
借方 金額 貸方 金額
当座預金 7,900 売上 10,000
手形売却損 100
売掛金 2,000

なお、荷為替の取組み時に割り引かれた自己受為替手形について、貨物代表証券(商品引換券)が担保となっているため、通常は偶発債務や保証債務等の仕訳は行いません。

(具体例2-買主側・荷為替の引き受け)

1.B社は遠方の取引先A社から商品10,000円を購入した(商品は船便で発送されたが未着)。その際、取引銀行から荷為替8,000円の呈示を受け、この引き受けを求められたので、これを引き受け船荷証券を受け取った。

(仕訳・荷為替の引受け時)
借方 金額 貸方 金額
未着品 10,000 支払手形 8,000
買掛金 2,000

2.本日、商品が到着したため、船荷証券と引き換えに運送業者から商品を受けとった。

(仕訳・商品受け取り時)
借方 金額 貸方 金額
仕入 10,000 未着品 10,000

商品がいまだに未着の場合、『仕入』勘定ではなく『未着品』勘定を使用し、後日に貨物代表証券と引き換えに運送業者から商品を受け取ったときに『未着品』勘定から『仕入』勘定に振り替えます。

(関連項目)
為替手形とは
為替手形(通常の宛為替手形)の仕訳

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