為替手形とは
為替手形とは、手形の振出人(ここではAとします、以下同様)が名宛人(B)に対し、一定の金額を指図人(C)に対して支払うことを依頼する手形をいいます。
為替手形では通常、上記のように登場人物が3人登場します。3人の登場人物をまとめると以下のようになります。
A | 振出人 | 手形の作成者です。名宛人Bに対し、手形金額を指図人Cに対して支払うように依頼する人です。 |
B | 名宛人 | 手形金額の支払者です。振出人Aの依頼により、手形金額を指図人Cに対して支払う人です。 |
C | 指図人 | 手形金額の受取人です。振出人Aの指示により、手形金額を名宛人Bから受け取る人です。 |
通常の為替手形は、たとえば上記のAがBに対する債権とCに対する債務を同時に持っているような場合で、Cに対する支払をBに代わりに払ってもらおうとするときに作成されます。すなわち、振出人Aが自分の持っている債権と債務を相殺しようとしたときに作成されます。
Aが為替手形を振り出すことにより、Aは自己持っている債権と債務が相殺され、BはAに対する債務がなくなるかわりにCに対する債務を負い、CはAに対する債権がなくなるかわりにBに対する債権を有することになります。
為替手形振出し後の振出人A、名宛人B、指図人Cの関係をそれぞれの仕訳で表すと以下のようになります。
借方 | 貸方 | 効果 | |
A:振出人 | 買掛金 | 売掛金 | 債権と債務が相殺されます |
B:名宛人 | 買掛金 | 支払手形 | 支払先がAからBに変わります |
C:指図人 | 受取手形 | 売掛金 | 支払元がAからBに変わります |
為替手形の種類
通常の為替手形(他人宛為替手形といいます)は振出人・名宛人・指図人の3人の人物が登場しますが、振出人と名宛人とが同一人物(自己宛為替手形といいます)の場合や、振出人と指図人が同一人物の場合(自己宛為替手形といいます)などに振り出されるものもあります。為替手形の種類をまとめると以下のようになります。
種類 | 振出人 | 名宛人 | 指図人 | 内容 |
他人宛為替手形 | A | B | C | 通常の為替手形です。AがBに対する売掛金とCに対する買掛金とを相殺したい場合に作成します。 |
自己受為替手形 | A | B | A | 手形振出人と受取人が同一人物です。AがBに対する売掛金を手形に変えたい場合に作成します。 |
自己宛為替手形 | A | A | C | 手形振出人と支払人が同一人物です。AがCに対する買掛金を手形に変えたい場合に作成します。 |
(関連項目)
荷為替の取組み・引受けに関する仕訳・会計処理
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