貸付金・借入金の仕訳

取引先や従業員などに金銭を貸し付けたときは『貸付金』勘定、逆に金銭を借り入れたときは『借入金』勘定を使って記帳します。
なお、貸付金・借入金勘定はおもに借用証書を用いた金銭貸借の際に使用されるのに対し、金融手形を用いた金銭貸借は手形貸付金・手形借入金勘定を使用します(詳細は手形貸付金・手形借入金の仕訳をご覧ください)。

(具体例-貸付金)

社員が災害にあい、生活資金が必要となったため1,000,000円を現金で貸し付けた。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
貸付金 1,000,000 現金 1,000,000
(具体例-借入金)

緊急の資金が必要となったため、取引先より現金500,000円を借り入れた。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
現金 500,000 借入金 500,000

貸借対照表上の表示について(応用論点)

貸付金・借入金は1年基準が適用され、決算日の翌日から起算して1年以内に回収期限が到来する場合は『短期貸付金』(流動資産)・『短期借入金』(流動負債)、決算日の翌日から起算して1年を超えて回収期限が到来する場合は『長期貸付金』(固定資産-投資その他の資産)・『長期借入金』(固定負債)として表示します。
したがって、決算日において回収期限が1年以内となった長期の債権・債務は固定から流動への振替が必要となりますが、分割返済の定めのある長期の債権・債務について、重要性の乏しいものについては固定資産又は固定負債のままで表示することができます(重要性の原則)。

(表示まとめ)
1年超で回収 1年以内に回収 重要性なし※
貸付金 固定資産 流動資産 固定資産
借入金 固定負債 流動負債 固定負債

※分割返済の定めのある長期の債権又は債務のうち、期限が一年以内に到来するもので重要性の乏しいもの。

従業員貸付金・役員貸付金(実務上の注意)

従業員や役員に対する貸付金は別途『従業員貸付金』『役員貸付金』勘定を設け、他の貸付金と区別して記帳することがあります。
なお、従業員や役員に対する貸付金は実務上注意が必要です。これらに対する貸付について無利息であったり低金利の利息しか受け取っていない場合は給与認定あるいは認定賞与として追加的な課税関係が生じる恐れがあります。無利息または低金利貸付の場合で以下の条件に当てはまらない時は、従業員または役員に対する利益供与に関し給与としての課税関係が生じます(所得税法36条,所得税基本通達36-15,36-28,36-49)。

(1) 災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった役員又は使用人に、合理的と認められる金額や返済期間で金銭を貸し付ける場合
(2) 会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、この利率によって役員又は使用人に対して金銭を貸し付ける場合
(3) 特例基準割合による利率と貸し付けている利率との差額分の利息の金額が1年間で5,000円以下である場合

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