社債発行時(割引発行)の仕訳・会計処理

1.社債とは

社債とは、会社が行う資金調達手段の一つであり、社債券という債券を売出し、これを広く一般の人々から購入してもらうことにより資金を調達するものです。
社債は発行した会社にとっては借金(負債)であり、定められた期限にお金を返済しなければなりません。一方、社債を購入した側にとっては有価証券となり満期保有目的債券やその他有価証券として取り扱うことになります。

2.割引発行と平価発行・打歩発行

社債を発行した時は発行価格をもって『社債』勘定を使って記帳します。社債の額面金額(返済しなければならない価格)と発行価格(売り出し価格)とは必ずしも一致するものではありません。通常は発行価格は額面価格よりも安く設定されています(割引発行)。これは社債の約定金利と市場金利との差額の金利調整のためであり、一種の前払利息の性格を持つものです。
なお、額面金額で発行することを平価発行といい、額面金額以上の価格で発行することを打歩発行といいます。

3.社債発行時の会計処理

上記の通り、社債を発行した時は発行価格を使って『社債』勘定の貸方に記帳します。これは、社債は借金(負債)であり、負債が増加していることを意味します。なお、金融機関などの取り扱い手数料や社債券の印刷費など社債発行時の諸費用は『社債発行費』勘定を使って記帳します。社債発行費は社債発行時の費用(営業外費用)となりますが、繰延資産として扱うこともできます。

(具体例-社債発行時)

当社は以下の条件で社債を発行し、振込額は当座預金として処理した。なお、社債発行に係る諸経費は現金で支払い、すべて当期の費用として処理する。

社債額面価格:1,000,000円
発行価格:額面100円につき95円
広告費・社債券の印刷費などの諸経費:10,000円

(計算過程)
額面100円につき95円で発行しているため、社債の発行価格総額は
1,000,000円×95円/100円=950,000円

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
当座預金 950,000 社債 950,000
社債発行費 10,000 現金 10,000

社債の貸借対照表上の表示は、社債の償還期限までの期間が決算日の翌日から1年以上である場合は固定負債、1年未満の場合は『1年内償還社債』として流動負債として表示します1年基準)。

(関連項目)
社債の決算時の仕訳・会計処理

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