その他資本剰余金原資の配当を受け取った時

株主が剰余金の配当を受けとったときは『受取配当金』勘定を使って記帳することになりますが、剰余金の配当原資がその他資本剰余金の場合は注意が必要です。
その他資本剰余金を原資とした配当を受けとったとき、配当の対象となる株式により以下のような処理を行うことになります。

(その他資本剰余金を原資とした配当を受け取ったときの処理)
対象有価証券 処理
売買目的有価証券 配当金を受け取ったときは、『受取配当金』勘定を使って処理します。
上記以外 配当金を受け取ったときは、投資の払い戻しと考えて、原則として『投資有価証券』勘定などの投資勘定を減額処理します。

その他資本剰余金は株式払込剰余金の取崩額等、株主からの払込資本によって構成されるものであり、その他資本剰余金の処分による配当は、基本的には投資の払戻しの性格を持つことになります。したがって、それらの配当を受けた株主の側では、有価証券の帳簿価額を減額することが原則的な処理となります。
ただし、配当対象が売買目的有価証券の場合は、期末に時価評価されており、配当に伴う価値の低下が期末時価(帳簿価額)に反映されているため、配当の原資にかかわらず収益計上することが適切であり、受取配当金として処理することになります(企業会計基準適用指針第3号 その他資本剰余金の処分による配当を受けた株主の会計処理を参照)。

(具体例1-その他資本剰余金の配当受取・売買目的有価証券の場合)

保有する株式(売買目的有価証券)について、配当金3,000円を受け取り当座預金とした。なお当該配当はその他資本剰余金を原資とするものであるとの連絡を受けている。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
当座預金 3,000 受取配当金 3,000
(具体例2-その他資本剰余金の配当受取・売買目的有価証券以外の場合)

保有する株式(その他の有価証券)について、配当金3,000円を受け取り当座預金とした。なお当該配当はその他資本剰余金を原資とするものであるとの連絡を受けている。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
当座預金 3,000 投資有価証券 3,000

なお株式の受取配当金を受け取ったときは、所得税・復興特別所得税などが源泉徴収されますが、その他資本剰余金を原資とした配当に関しては、資本の払い戻しに該当するため配当所得に該当せず、源泉徴収の対象とはなりません(ただし、みなし配当に該当する配当額は除きます)。

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