その他資本剰余金配当時の仕訳
その他資本剰余金とは、資本金や資本準備金の取崩し(資本金及び資本準備金減少差益)や、自己株式処分時の処分差額(自己株式処分差益)など、株主からの払込を原資とする資本性の剰余金をいいます。その他資本剰余金は繰越利益剰余金と同様、株主への配当原資とすることができます(会社法第446条、第453条参照)。
その他資本剰余金を原資とする配当を行ったときは、配当額を『その他資本剰余金』勘定または『資本金及び資本準備金減少差益』勘定などの純資産勘定から『未払配当金』勘定という負債勘定への振替処理を行います。
(具体例-その他資本剰余金剰余金の配当)
1.株主総会において、その他資本剰余金を原資として下記の通り剰余金の配当が決議された。
配当金1,000円、資本準備金100(金額の決定は下記参照ください)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
その他資本剰余金 | 1,100 | 未払配当金 | 1,000 |
- | - | 資本準備金 | 100 |
2.後日、配当金1,000円を当座預金口座から支払った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
未払配当金 | 1,000 | 当座預金 | 1,000 |
準備金の積立について、繰越利益剰余金(その他利益剰余金)を配当財源とした場合は利益準備金を積み立てますが、その他資本剰余金を配当財源とした場合は資本準備金を積み立てることになります。
資本準備金・利益準備金の按分計算
会社法では、剰余金の配当を行う際には、配当金の10分の1を資本金の4分の1に達するまで、資本準備金または利益準備金として積み立てなければならない旨の規定が置かれています(会社法第445条第4項)。
剰余金の積立必要額をまとめると下記の通りになります。下記のうちいずれか少ない額を準備金として積み立てる必要があります。
1 | 資本金×1/4-(資本準備金+利益準備金) |
2 | 配当金×1/10 |
この時、配当原資としてその他資本剰余金と利益剰余金の両方を用いた場合、配当原資となった剰余金の割合により資本準備金と利益準備金を算出します。
(具体例-剰余金の分配・利益準備金と資本準備金の算出)
株主総会において、その他資本剰余金400円と繰越利益剰余金600円とを原資として下記の通り剰余金の配当が決議された(なお会社の純資産の内訳は、資本金4,000円、資本準備金200円、利益準備金200円である)。
配当金1,000円、資本準備金・利益準備金は会社法規定額。
(計算過程)
準備金の積立額は以下のうちの少ない額
1.資本金4,000円×1/4-(資本準備金200円+利益準備金200円)=600円
2.配当金1,000円×1/10=100円
したがって準備金の積立額は100円
資本準備金:100円×400円/(400円+600円)=40円
利益準備金:100円×600円/(400円+600円)=60円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
その他資本剰余金 | 440 | 未払配当金 | 1,000 |
繰越利益剰余金 | 660 | 資本準備金 | 40 |
- | - | 利益準備金 | 60 |
(関連項目)
剰余金の配当時の仕訳
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