貸手の計算利子率と借手の追加借入率とは
リース取引がファイナンス・リース取引に該当するかどうかの判定(現在価値基準)および借手がリース物件を資産計上する際の計上額の算定に際し、リース料総額の割引現在価値を算定することになりますが、この割引計算に用いる利率には以下の2つがあります(リース取引に関する会計基準の適用指針第17項等参照)。
貸手の計算利子率 | 貸手の計算利子率とは、リース料総額とリース期間終了時に見積られる残存価額の合計額の現在価値が、当該リース物件の現金購入価額又は借手に対する現金販売価額と等しくなるような利率をいいます。 |
借手の追加借入率 | 借手の追加借入率とは、借手の追加借入に適用されると合理的に見積られる利率をいいます。 |
上記のうち、割引計算に用いる利率については、借手が貸手の計算利子率を知り得る場合は当該利率とし、知り得ない場合は借手の追加借入率を用いることになります(貸手は貸手の計算利子率を知り得ないことはありませんので計算利子率を用います)。
・貸手:貸手の計算利子率
・借手:貸手の計算利子率、これを知り得ない場合は借手の追加借入率
1.貸手の計算利子率の算定
貸手の計算利子率とは、リース料総額とリース期間終了時に見積られる残存価額の合計額の現在価値が、当該リース物件の現金購入価額又は借手に対する現金販売価額(以下合わせて「購入価額等」という。)と等しくなるような利率をいいます。
たとえば、リース物件の貸手の現金購入価額420,000円であり、リース期間を4年、リース料の受取りは毎年3月31日に1年分のリース料120,000円を後受けする場合、貸手の計算利子率rは以下のようにして算定します。
420,000円=120,000円/(1+r)+120,000円/(1+r)^2年+120,000円/(1+r)^3年+120,000円/(1+r)^4年
これを解くとr=5.5638%となり、当該リース取引の貸手の計算利子率は5.5638%となります。
2.借手の追加借入率の算定
借手の追加借入率とは、借手の追加借入に適用されると合理的に見積られる利率をいいます。具体的には、次のような利率のなかからその企業にとって適当と認められるものを用いることになります(リース取引に関する会計基準の適用指針第95項参照)。
1.リース期間と同一の期間におけるスワップレートに借手の信用スプレッドを加味した利率
2.新規長期借入金等の利率 |
なお、2.新規長期借入金等の利率を用いる場合には、リース期間と同一の期間の借入れを行う場合に適用される利率を用いる点にご注意ください。
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