リース資産(リース物件)の減価償却費の算定

ファイナンス・リース取引については、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行います。すなわち、借手はリース取引開始時において、リース物件を固定資産として資産計上し、毎期一定の方法で減価償却計算を行うことが必要となります。

なお、ファイナンス・リース取引は、リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有権が借手に移転すると認められる所有権移転ファイナンス・リース取引とそれ以外の所有権移転外ファイナンス・リース取引とに分類することができ、それぞれのリース契約の性質に応じて借手側のリース資産の減価償却方法は以下のように異なります(リース取引に関する会計基準第12項、リース取引に関する会計基準の適用指針第27・42項等参照)。

(リース資産の減価償却方法)
所有権移転外ファイナンス・リース取引 所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は、原則として、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定します(なおリース契約に残価保証の取決めがある場合は、原則として、当該残価保証額を残存価額として算定します)。
所有権移転ファイナンス・リース取引 所有権移転ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は、自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により算定します。この場合の耐用年数は、経済的使用可能予測期間となります。

所有権移転外ファイナンス・リース取引について、リース資産の償却方法は、定額法、級数法、生産高比例法等の中から企業の実態に応じたものを選択適用しますが、この場合において、自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により減価償却費を算定する必要はないことになっています(リース取引に関する会計基準の適用指針第28項等参照)。

(具体例-リース資産の減価償却費の算定・借手)

当社は×1年4月1日(期首)に以下の条件でリース契約を締結した。当該リース取引が所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合、または所有権移転ファイナンス取引であった場合の×2年3月31日に計上すべき減価償却費をそれぞれ算定しなさい。

1.リース契約時の資産計上額60,000円
2.リース期間5年
3.リース物件の経済的耐用年数は6年
4.当社(借手)の減価償却方法は定額法であり、残存価額10%として算定している。
5.当該リース取引が所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合も定額法を使用する。
6.リース取引開始日はX1年4月1日、当社の決算日は3月31日である
1.所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合

当該リース契約が所有権移転外ファイナンス・リース取引の場合、リース資産の減価償却費はリース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定することになりますので、×2年3月31日に計上する減価償却費は以下のようになります(減価償却方法は設問の指示により定額法を使用する)。

リース資産の減価償却費:リース資産の取得原価60,000円÷リース期間5年=12,000円
2.所有権移転ファイナンス・リース取引の場合

当該リース契約が所有権移転ファイナンス・リース取引の場合、当社が保有する他の固定資産と同様の方法により、経済的耐用年数(経済的使用可能予測期間)を耐用年数として算定することになります。当社は固定資産の減価償却方法として定額法(残存価額10%)を採用していますので、×2年3月31日に計上する減価償却費は以下のようになります。

リース資産の減価償却費:リース資産の取得原価60,000円×0.9×経済的耐用年数6年=9,000円

(関連項目)
リース資産の取得原価(リース資産・リース債務の計上額)の算定
リース期間定額法の計算(税務上の償却費)の計算

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