リース期間定額法の計算

リース資産の税務上の償却方法は、当該リース取引が所有権移転リース取引か所有権移転外リース取引かによって以下のように異なります。

(税務上のリース資産の減価償却方法)
所有権移転リース 他の資産と同様の方法
所有権移転外リース リース期間定額法

リース期間定額法とは、当該リース資産の取得価額を当該リース資産のリース期間の月数で除して計算した金額に当該事業年度における当該リース期間の月数を乗じて計算した金額を各事業年度の償却限度額として償却する方法をいい、税務上において所有権移転外リース取引と判定されるリース資産に適用される償却方法をいいます。具体的な計算はいかのとおりです(法人税法施行令第48条の2 第1項6号参照)。

償却限度額=リース資産の取得価額/全リース期間の月数×当期のリース期間の月数

リース資産の取得価額に残価保証額に相当する金額が含まれている場合には、当該取得価額から当該残価保証額を控除する必要があります。

中小企業などにおいて支払ったリース料を賃借料として経費処理している場合であっても、税務上は減価償却費として経理しているものと同様の処理をしているものとして扱うことができることになっています(法人税法施行令第131条の2 第3項)。
リース料総額をリース資産の取得価額として処理しているかぎり(法人税法基本通達7-6の2-9原則参照)、リース期間におけるリース料が均等であれば、毎期のリース料とリース期間定額法による償却額限度額とは一致しますので、このような処理をしている場合であっても賃借料として計上した金額の全額が税務上の経費(損金)として認められることになります。

(具体例-リース期間定額法)

前期期首に取得した以下のリース資産について、当期のリース期間定額法による減価償却費を算定し、仕訳を示しなさい。

(リース資産)
1.当該リース取引は税務上の所有権移転外リース取引に該当する。
2.リース資産の取得は前期期首であり、リース期間は5年である。
3.リース資産の取得価額は60,000円であり、残価保証に関する取り決めはないものとする
4.リース料の支払いは毎月1,000円である。

(計算過程)

全リース期間の月数:12月×5年=60月
当期のリース月数:12月

当期の税務上の償却額:取得価額60,000円/60月×12月=12,000円

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
減価償却費 12,000 リース資産 12,000

仮に、毎月の支払リース料1,000円を支払時に『賃借料』として処理しているばあいであっても、税務上は減価償却費として経理しているものとして扱ってもよいことになっており、また本問においては毎期の賃借料の合計と償却限度額とは一致しますので、賃借料の全額を税務上の経費(損金)として処理することが可能です。

(関連項目)
会計上のリース資産(リース物件)の減価償却費の算定

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