個人事業主が固定資産を売却した時の会計処理

個人事業主が機械や自動車などの事業用資産を売却した時は、売却した固定資産の帳簿価額を貸方に記帳すると同時に、売却代金を借方に記帳します。固定資産の帳簿価額と売却価額との差額は『事業主借』または『事業主貸』勘定を使って記帳します(個人事業主では固定資産売却損益勘定は使用しません)。

これは、個人事業主が事業で使用する固定資産を売却した時の所得が、事業所得や不動産所得ではなく譲渡所得となるため、事業所得や不動産所得の損益に固定資産の売却損益が含まれないようにするためです。

(具体例1-個人事業主固定資産売却・譲渡益)

個人事業主が業務用自動車(帳簿価額1,000,000円)を現金1,500,000円で売却した。なお、期首から売却日までの減価償却費は10,000円であった。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
現金 1,500,000 車両運搬具 1,000,000
減価償却費 100,000 事業主借 600,000

売却額が1,500,000円、売却時の帳簿価額(取得費)が900,000円(=1,000,000円-100,000円)であり、差額600,000円の売却益は事業主借となります。売却損益が貸方に計上される場合は『事業主借』勘定を使って記帳します。

(具体例2-個人事業主固定資産売却・譲渡損)

個人事業主が業務用自動車(帳簿価額1,000,000円)を現金600,000円で売却した。なお、期首から売却日までの減価償却費は10,000円であった。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
現金 600,000 車両運搬具 1,000,000
減価償却費 100,000
事業主貸 300,000

売却価額と帳簿価額との差額である売却損300,000円は事業主貸勘定を使って記帳します。なお、固定資産売却損は所得税上において損益通算の対象となりますので、事業や不動産所得の利益と固定資産売却損とを相殺することが可能です。

(関連項目)
個人事業主の預金利息の仕訳(実務上の注意)
個人事業主が国民年金・健康保険を支払った時の仕訳

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