棚卸減耗費の仕訳・会計処理
棚卸資産の管理について継続記録法を採用し、かつ、期末に実地棚卸を行っている場合、商品有高帳などの帳簿上の在庫数量と実地棚卸により判明する実際の在庫数量とに差が生じる場合があります。これは保管中や運送中などにおける盗難や紛失など様々な原因により発生するものと考えられますが、このような在庫数量の目減り分を棚卸減耗といいます。
棚卸減耗による損失分は、減耗数量に、単価(先入先出法や平均原価法などで算定)を乗じた金額を『棚卸減耗費』または『棚卸減耗損』として当期の費用に計上し、処理することが必要となります。
棚卸減耗費=(帳簿上の在庫数量-実地棚卸数量)×単価 |
棚卸減耗費は、通常毎期発生する程度の損失(原価性有り)か、もしくは臨時的・偶発的に発生したもの(原価性なし)かにより損益計算書上の表示が以下のように異なります(連続意見書第四 第一・六参照)
原価性の有無 | 表示 |
原価性有り | 売上原価の内訳科目または販売費及び一般管理費 (原料等については製造原価に算入) |
原価性なし | 営業外費用項目または特別損失項目 |
(具体例-棚卸減耗費)
商品について、期末に実地棚卸を行った結果は以下の通りである。決算整理仕訳を示しなさい(期首在庫はゼロである)。
帳簿有高:100個(仕入単価すべて@10円)
実際有高:95個
(計算過程)
帳簿有高と実際有高との間に差が発生しており、この差は棚卸減耗費として当期の費用として処理します。翌期に繰り越す商品は実地在庫数量に単価を乗じて算定します。
棚卸減耗費:(100個-95個)×10円=50円
繰越商品:95個×10円=950円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
繰越商品 | 950 | 仕入 | 1,000 |
棚卸減耗費 | 50 | - | - |
(関連項目)
棚卸資産の取得原価の算定
棚卸資産の評価方法(払出単価の算定方法)について
低価基準・低価法(棚卸資産の評価基準)に関する会計処理
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