合計所得金額(ごうけいしょとくきんがく)の算定の基礎

所得税などの申告で配偶者控除や配偶者特別控除などの適用の可否を検討するさいに「合計所得金額(ごうけいしょとくきんがく)」という用語がでてくることがあります。
ここではこの「合計所得金額」について簡単に定義をご説明いたします。

合計所得金額とは給与所得や事業所得、雑所得、配当所得、不動産所得、譲渡所得、一時所得などを合計した所得金額です。
だだし上記の所得を単純に合計するのではなく、合計所得算定は次の様な手順で算定します。

(合計所得金額の算定)
1.事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得および雑所得の金額を合計する(損益通算後の金額)
2.総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1の金額を合計する
3.さらに退職所得金額、山林所得金額を加算する

※ 申告分離課税の所得がある場合には、それらの所得金額(特別控除前の分離長期・分離短期譲渡所得の金額)の合計額を加算する。
※ 繰越控除を受けている場合は、その適用前の金額となる(純損失や雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失、特定居住用財産の譲渡損失、上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除などの控除前の金額)
※ 源泉分離課税の対象となった退職所等は含まない。

合計所得金額は配偶者控除配偶者特別控除基礎控除などの適用の可否を判定する際に使用します(たとえば納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、当該納税者の配偶者の所得がゼロであったとしても配偶者控除を受けることはできなくなります)。

(具体例-合計所得金額の算定)
以下の納税者Aの本年度の各種所得金額は以下の通りである。納税者Aの合計所得金額を算定しなさい。

給与所得:給与の額面金額は360万円(給与収入360万円の場合の給与所得控除は116万円)
雑所得:副業のアフィリエイトの売上が100万円、経費が30万円
譲渡所得:株式等に係る譲渡所得の金額200万円(上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除額が20万円ある)

(解答)
合計所得金額の算定は基本的には各種所得金額を合計していきますので、上記の所得を合計していくのですが繰越控除(前期以前の損失を当期の所得と相殺できる)などがある場合には、控除前の金額を使用することとなります。

まず給与所得は給与収入(額面額)から給与所得控除を差し引いて算定しますので、以下のようになります。
給与所得金額:給与収入360万円-給与所得控除額116万円=244万円

副業にかかる収入は雑所得となります。雑所得の算定は売上から経費を差し引いて算定します。
雑所得金額:売上100万円-経費30万円=70万円

株式等に係る譲渡所得の金額については繰越控除額を控除する前の金額となりますので、株式等に係る譲渡所得金額200万円をそのまま合計します。

したがって合計所得金額は以下の通りとなります。

合計所得金額:給与所得金額244万円+雑所得金額70万円+株式等に係る譲渡所得金額200万円=514万円

(関連項目)
総所得金額等とは(所得税の基礎)

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