支配獲得日後の連結の基本的な流れ

親会社が子会社に対する支配を獲得した時(支配獲得日)には、親会社は支配獲得日における連結貸借対照表を作成しました(企業集団がスタート時点においてどれだけの資産や負債を持っているかを明らかしました)。

その後に企業集団としての活動がスタートし、連結決算日をむかえると連結貸借対照表のほか、企業集団として活動しどれだけの利益を得たのかを表す連結損益計算を作成することが必要となります(実際には連結貸借対照表・連結損益計算書・連結株主資本等変動計算書・連結キャッシュフロー計算書および連結包括利益計算書の5つの連結財務諸表を作成します)。

支配獲得後においてこれら連結財務諸表を作成するために必要となる仕訳・手続きには以下のようなものがあります。

(支配獲得日後の連結修正仕訳)
1.開始仕訳 支配獲得日後の連結であっても、それらは親会社と子会社との個別財務諸表を合算し、これに連結決算上必要な仕訳を加えることによって作成しますが、個別財務諸表では、支配獲得日から前期の連結決算日までの間に行われてきた連結決算上の仕訳(過去の連結修正仕訳)は反映されてはいません。
したがって個別財務諸表を合算するとともに、これまで連結決算で行ってきた仕訳を再現してやる必要があります。これを開始仕訳といいます。
2.のれんの償却 支配獲得時などにおいて発生したのれんを償却します。
のれんの償却は原則とし定額法により20年以内に償却することが必要となります。
3.子会社の当期純利益の振り替え 連結財務諸表は親会社と子会社との個別財務諸表を合算して作成するのですが、当期純利益(当期純損失)については注意が必要となります。
子会社には親会社のほかにも株主が存在する場合がありますが、子会社のあげた利益のうちの親会社以外の株主の持分(非支配株主持分)に相当する額は企業集団の利益としては見ないため、これを非支配株主持分の変動として処理することになります。
4.剰余金の配当の修正 子会社が株主に支払った配当は親会社と親会社以外の株主(非支配株主)にその株主の持分割合に応じて支払われますが、このうち子会社が親会社に対して支払った配当金は親会社と子会社とを一つの企業集団としてみた場合、企業集団内部での資金の移動に他なりません。したがって子会社が親会社に支払った配当金については相殺消去することが必要となります。

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