受託販売（仕切精算書を送付した時）の仕訳・会計処理

受託販売とは、他社の商品を他社の計算において他社に代わって販売することをいいます。すなわち、委託販売における受託者側の会計処理を受託販売といいます。

受託販売の特徴としては、商品販売はあくまでも委託者（商品を販売を委託してきたもの）の計算で行うという点があります。すなわち、受託者は委託者から商品を受け取ってもそれは受託者にとっての仕入を意味するものではありません。また受託者は委託者より預かった商品を販売してもそれは委託者にとっての売上であり、受託者の売上を意味するものではありません。受託者は商品販売による手数料を受け取るのみであり、商品販売の利益や売れ残りの損失を受託者が被るわけではありません。

受託者は委託者より預かった商品を販売することにより販売手数料を得ることができます。受託者は商品を販売したのちに委託者に対し、売上計算書（または仕切精算書）を発送し、商品の売上高や受託者の受け取るべき手数料を委託者に報告することになりますが、この際において受託者が受け取る手数料収益は『受取手数料』勘定を使って収益計上します。

たとえば、受託者の受け取る販売手数料は1,000円の場合、売上計算書（仕切精算書）の送付時などにおいて以下のような仕訳を行い、販売手数料を受託者の収益として計上します。

販売収益の相手勘定は『受託販売』勘定を使用します。『受託販売』勘定は受託者と委託者との債権債務を処理する勘定科目であり、その残高は後日精算することになります。

（具体例－受託販売の収益計上）

当社はＡ社より商品の販売を委託され、商品6個（売上9,000円）を販売した。その後、委託者であるA社にたいし、以下の売上計算書（仕切精算書）を作成し送付した。販売手数料に関する収益計上について必要な仕訳を示しなさい。

受託販売においては受託者は商品の売上収益は計上しません。受託販売はあくまでも委託者より預かった商品を委託者のかわりに販売するのみであり、受託者は販売代行による手数料収益を得ることになります。受託者の受け取る販売手数料に関しては、売上計算書（仕切精算書）の作成時などにおいて『受取手数料』勘定を使って収益計上し、相手勘定は委託者と受託者との債権債務を処理する『受託販売』勘定を使って記帳することになります。

なお手数料収益の損益計算書上における表示は、受託販売が企業の主たる営業活動の一環として行われている場合は売上高の区分に役務収益などとして記載し、いっぽう、受託販売は企業の主たる営業活動に含まれない場合は営業外収益の区分に表示することになります。

（関連項目）
受託販売（商品を受け取った時）の仕訳・会計処理
受託販売（商品を販売した時）の仕訳・会計処理
受託販売（送料や保管料などの経費を支払った時）の仕訳・会計処理
委託販売の収益測定（総額法・純額法）ついて