建設仮勘定の減損(将来キャッシュ・フローの算定)について

現在建設中または製造中の資産である建設仮勘定についても減損の兆候がある場合、減損会計を適用することが必要となります。
現在建設中や製造中の資産(建設仮勘定)に減損の兆候がある場合、建設仮勘定について将来キャッシュ・フローを見積り、減損損失の認識判定および減損損失の測定(使用価値の算定)を行うことになります。
現在使用されていない建設仮勘定の将来キャッシュ・フローの見積りについては、合理的な建設計画や使用計画等を考慮して、完成後に生ずると見込まれる将来キャッシュ・イン・フローから、完成まで及び完成後に生ずると見込まれる将来キャッシュ・アウト・フローを控除して見積ることになります(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第38項(4)参照)。

建設仮勘定の将来CF=完成後の将来CF(IN)-完成まで及び完成後の将来CF(out)

なお、資産グループが複数の建設仮勘定から構成されている場合において、当該資産グループについて認識された減損損失は、資産グループの帳簿価額から控除しますが、減損損失の測定時には各建設仮勘定に配分せず、完成時にそれまでの総支出額等の合理的な方法に基づいて配分することに注意が必要です(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第27項参照)。

(具体例-将来キャッシュフローの算定・建設仮勘定)

現在建設中の工場(×4年末に完成予定)について、×1年末において減損の兆候が見られたため減損損失の認識の判定を行うことなった。当該工場の×1年末時点における合理的な建設計画や使用計画等を考慮して、完成前および完成後のそれぞれのキャッシュ・イン・フローおよびキャッシュ・アウト・フローは以下のように見積もられた。
当該工場について減損損失の認識を行うかどうかの判定をしなさい。

建設中工場の将来キャッシュ・フローの見積り

×1年末の帳簿価額 ×2年の将来CF ×3年の将来CF ×4年の将来CF ×5年以降の将来CF
100円 △100円 △100円 △100円 380円

(計算過程)
建設仮勘定の将来キャッシュ・フローの見積りは完成後の将来キャッシュ・イン・フローから完成前および完成後の将来キャッシュ・アウト・フローを控除して算定することになります。
したがって、当該工場の減損損失を認識するかどうかの判定の際に用いる割引前将来キャッシュ・フローの算定、および減損損失を認識するかどうかの判定は以下のように行います。

割引前将来CF:将来キャッシュ・イン・フロー380円-将来キャッシュ・アウト・フロー(100円+100円+100円)=80円

判定:帳簿価額100円>割引前将来CF80円⇒将来CFが帳簿価額を下回っているため減損損失を認識する。

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