減損損失の表示(直接控除と間接控除)

減損処理を行った資産の貸借対照表における表示方法には直接控除形式と間接控除形式(さらに独立間接控除形式および合算間接控除形式とに分類されます)とがあり、それぞれの内容は以下の通りです(固定資産の減損に係る会計基準 四1、固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第57・139項参照)。

(減損損失の表示方法)
直接控除形式 直接控除形式とは、固定資産の減損処理前の取得原価から減損損失を直接控除し、控除後の金額をその後の取得原価とする形式をいいます。
独立間接控除方式 独立間接控除形式とは、減価償却を行う有形固定資産について、当該資産に対する減損損失累計額を、取得原価から間接的に控除する形式をいいます。
合算間接控除形式 合算間接控除形式とは、減価償却を行う有形固定資産については、当該資産に対する減損損失累計額を減価償却累計額に合算し、取得原価から間接的に控除する形式をいいます。

上記の表示形式のうち、原則として、固定資産の取得原価から減損損失を直接控除し、控除後の金額をその後の取得原価とする直接控除形式を採用する必要がありますが、独立間接控除方式や合算間接控除方式の採用も容認されています(固定資産の減損に係る会計基準 四1、固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第57項参照)。

なお、減価償却累計額の表示方法にも直接控除形式と間接控除形式とがありますが、減損損失累計額と減価償却累計額とは、その性格は異なるものと考えられることから、貸借対照表において、減損損失累計額と減価償却累計額の表示形式とを同じものとする必要はありません(たとえば、減損損失累計額は直接控除形式で表示し、減価償却累計額は間接控除形式で表示することもみとめられます。固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第57・139項参照)。

(具体例-減損損失の貸借対照表における表示)

当社が保有する機械(取得原価100,000円、当期末までの減価償却費20,000円)について、当決算期において30,000円の減損損失を計上した。当該機械について、直接控除形式・独立間接控除形式・合算間接控除形式の3つの形式における貸借対照表の表示を示しなさい(なお、当社の保有する資産はこの機械のみであり、減価償却累計額は間接控除形式によっているものとする)。

1.直接控除形式(原則法)

直接控除形式では減損損失累計額を固定資産の取得原価から直接控除します。表示方法は以下の通りです。

(貸借対照表の表示)
機械
減価償却累計額
70,000
△20,000
50,000
2.独立間接控除形式(容認)

独立間接控除形式では減損損失累計額を固定資産の取得原価から間接的に控除します。なお、減価償却累計額とは合算せず、それぞれ独立して表示します。表示方法は以下の通りです。

(貸借対照表の表示)
機械
減損損失累計額
減価損失累計額
100,000
△30,000
△20,000
50,000
3.合算間接控除形式(容認)

合算間接控除形式では減損損失累計額を固定資産の取得原価から間接的に控除します。なお、減損損失累計額は減価償却累計額と合算し、一括して表示します。表示方法は以下の通りです。

(貸借対照表の表示)
機械
減価償却累計額及び減損損失累計額
100,000
△50,000
50,000

(関連項目)
減損損失の測定について(基本)
減損損失処理後の減価償却費の計算と仕訳

スポンサードリンク