減損損失処理後の減価償却費の計算と仕訳

減損損失を測定し、減損処理を行った固定資産の減損処理後の減価償却費の算定については、減損処理後は減損損失を控除した帳簿価額に基づき減価償却を行うことになります(固定資産の減損に係る会計基準 三1参照)。

(減損処理を行った資産の減損処理後の帳簿価額)
減損処理後の帳簿価額=取得原価-これまでの減価償却累計額-減損損失計上額

減損処理を行った固定資産の減価償却費を算定する際の残存価額および残存耐用年数については、減損損失計上後における残存価額(耐用年数到来時において予想される当該資産の正味売却価額)および残存耐用年数(減損処理後の経済的残存耐用年数)に基づき減価償却を行うことになります。
なお、残存価額は、耐用年数到来時において予想される当該資産の正味売却価額となりますが、減価償却費の計算においては現在時点まで割り引かれないことに留意する必要があります(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針 第55・134・135項参照)。

(具体例-減損処理後の減価償却費の計上)

昨年度末において、減損損失を計上した下記の機械Xについて、当期の減価償却費の計上に関する仕訳を示しなさい(当期末において減損の兆候はないものとする)。

(機械X)
取得原価:5,000,000円
耐用年数:10年(前期末時点において5年経過しており、減損損失処理後においても変更はない)
残存価額:取得原価の10%
償却方法:定額法
昨年度の減損処理額:1,500,000円
耐用年数経過後の正味売却価額:0円

(計算過程)
減損処理後の減価償却費の算定は減損処理後の帳簿価額・残存価額・耐用年数をもとに算定することになります。

前期末までの減価償却累計額:(5,000,000円-5,000,000円×10%)×5年/10年=2,250,000円
減損処理後の帳簿価額:取得原価5,000,000円-累計額2,250,000円-減損損失1,500,000円=1,250,000円
減損処理後の耐用年数:10年-5年=5年
減損処理後の残存価額:0円(正味売却価額)

よって当期の減価償却費は
(帳簿価額1,250,000円-残存価額0円)/耐用年数5年=250,000円

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
減価償却費 250,000 減価償却累計額 250,000

(関連項目)
減損会計の手順について
減損損失の表示(直接控除と間接控除)

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