減損会計の手順について
固定資産の減損とは、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった状態であり、減損処理とは、そのような場合において一定の条件の下で回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理をいいます(固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書三3参照)。
減損会計を適用する場合の手順は以下の手順を順番に適用していくことになります(固定資産の減損に係る会計基準二1~3、固定資産の減損に係る会計基準注解・注1注2参照)
手続 | 内容 |
1.減損の兆候の把握 | 資産又は資産グループについて、減損が生じている可能性を示す事象を減損の兆候といいます。減損の兆候がある場合には、当該資産又は資産グループについて、減損損失を認識するかどうかの判定を行うことになります。減損の兆候としては、例えば次の事象が考えられます。
1.資産又は資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益又はキャッシュ・フローが、継続してマイナスとなっているか、あるいは、継続してマイナスとなる見込みであること。 |
2.減損損失の認識 | 減損の兆候がある資産又は資産グループについて減損損失を認識するかどうかの判定をおこないます。減損損失を認識するかどうかの判定は、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって行い、資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、減損損失を認識します。
(減損損失を認識すると判断される場合) |
3.減損損失の測定 | 減損損失を認識すべきであると判定された資産又は資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として当期の損失として処理します。
なお回収可能価額とは、資産又は資産グループの正味売却価額(資産又は資産グループの時価から処分費用見込額を控除して算定される金額)と使用価値(資産又は資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値)のいずれか高い方の金額をいいます。 |
上記の手順を上から順に実施します。なお上記1の減損の兆候の把握、あるいは上記2の減損損失の認識の判定の結果、減損の兆候無し、あるいは割引前CF>帳簿価額となる場合には減損処理は行いません(取得原価での評価を継続)。
なお、複数の資産が一体となって独立したキャッシュ・フローを生み出す場合には、減損損失を認識するかどうかの判定及び減損損失の測定に際して、合理的な範囲で資産のグルーピングを行う必要があります(詳細は資産のグルーピングの基礎と配分計算(減損会計)をご参照ください)。
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