未渡小切手・未取付小切手の仕訳と銀行勘定調整表
未渡小切手
小切手を振り出して支払処理をしていたにもかかわらず、仕入先が集金に来なかったなどの理由により未だに仕入先などに未渡しで手元に残っている小切手を未渡小切手といいます。未渡小切手は支払処理をしたにもかかわらず、実際は手元に残っているもですから支払処理を取り消す必要があります。
(具体例-未渡小切手)
仕入先に対する買掛金30,000円を支払うために小切手を振り出し記帳した。なお、小切手は仕入先が集金に来た時に渡す予定である。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
買掛金 | 30,000 | 当座預金 | 30,000 |
決算日に金庫の中を調べた結果、上記の小切手が未渡しとなって残っていたのを発見した。仕入先の集金予定が決算日後に先延ばしになった事が原因と判明した。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
当座預金 | 30,000 | 買掛金 | 30,000 |
未取付小切手
小切手を振り出して仕入先に渡しているにもかかわらず、仕入先がいまだに小切手を銀行に持ち込んでおらず銀行において当座預金の減少処理がなされていない小切手を未取付小切手と言います(銀行から送られてくる残高証明書の当座預金残高と当社の帳簿上の当座預金残高とが一致しないことによって判明します)。未取付小切手は小切手を仕入先に渡し、その小切手を仕入先が銀行に持ち込むまでの時間的ズレによって発生するものであり、いずれ仕入先が小切手を銀行に持ち込むことにより銀行の当座預金は減少しますので、特に仕訳をする必要はありません。
銀行勘定調整表との関係
未渡小切手・未取付小切手は簿記検定では銀行勘定調整表との関係で出題される論点です。銀行勘定調整表とは銀行から送られてくる当座預金の残高証明(銀行側の記録)と当社側の帳簿の当座預金勘定(当社の記録)との金額が不一致の場合、その不一致の原因はどこにあるのかを調べて調整するための資料です。銀行勘定調整表の次の3つの作成方法があります。
1、銀行残高・企業残高区分調整法(両者の残高を起点に本来あるべき調整を加え、貸借対照表の当座預金残高を導く)
2、銀行残高基準法(銀行の残高証明を起点に会社の帳簿残高を導く)
3、企業残高基準法(会社の帳簿残高を起点に銀行の残高証明の残高を導く)
上記のうち、1の銀行残高・企業残高区分調整法による未渡小切手・未取付小切手等の調整は以下のようになります。
残高証明書残高(銀行側) | 帳簿残高(会社側) | 備考 | |
未渡小切手 | 調整 | 実際に手元にあるので会社側を調整 | |
未取付小切手 | 調整 | 時間的ズレによるものなので銀行側を調整 | |
時間外預金 | 調整 | 時間的ズレによるものなので銀行側を調整 | |
引落未通知 | 調整 | 既に引落済みのため会社側を調整 | |
あるべきBS残高で一致 | あるべきBS残高で一致 |
(関連項目)
受取先日付小切手・支払先日付小切手の仕訳
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