金庫(手さげ金庫・据え置き金庫・耐火金庫)を購入した時の仕訳
会社で現金や印鑑・貴重品などを保管するために金庫や手さげ金庫・耐火金庫などを購入した時は、購入した金庫の金額によって以下のように仕訳します。
購入価格 | 処理方法 |
10万円未満の金庫を購入した場合 | 手さげ金庫など、購入した金庫の価額(付随費用含む。以下同様)が10万円未満の場合には『消耗品費』勘定を使って処理し、全額を購入時などの費用として処理します。 |
10万円以上20万円未満の金庫を購入した場合 | 『備品』勘定などの資産勘定を使って資産計上し、減価償却の手続きによって耐用年数にわたって費用化します。ただし、一括償却資産として簡易処理を行うことが可能です。 |
30万円未満の特例(中小企業者のみ) | 資本金が1億円未満などの条件を満たす中小企業者等や個人事業主であり、かつ青色申告者については購入時(事業供用時)において『消耗品費』勘定などを使ってその全額を費用として計上することができます(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例。なお、この特例が認められるのは、対象となる資産の取得価額の合計額が年間300万円までとなります(期中開業などの場合は月割計算となります))。 |
上記以外の場合 | 『備品』勘定などの固定資産勘定を使って資産計上し、減価償却の手続きによって耐用年数にわたって費用化します。 |
手さげ金庫や小型の金庫など、その購入価格が10万円未満となるような場合については、購入金額の全額を『消耗品費』勘定で記帳し、購入時などにおいて費用処理することができます。
大型の金庫や耐火金庫など10万円以上の購入価格となるような場合については、『備品』などの勘定科目を使って資産計上し、減価償却計算を通じて耐用年数にわたって費用化処理することが必要な場合があります(耐用年数は20年を使用しますが、手さげ金庫などは5年使用することになります(別表第一 <器具及び備品< 6容器及び金庫< 金庫 参照)。なお金融機関等における金庫室については上記の金庫に含まれず、全部が建物に含まれることになります(耐用年数の適用等に関する取扱通達2-7-12参照))。
金庫の購入価額の判定に際し、発生した消費税の取り扱いについては、会社が消費税の経理方式として税込経理方式を採用している場合は税込金額、税抜経理方式を採用している場合は税抜金額での判定することになります(免税事業者は税込金額での判定です)。
(具体例1-金庫の購入価額が10万円未満の場合)
個人事業主が、店舗の現金の保管のため手さげ金庫を購入した。購入金額は30,000円であり、個人事業主のポケットマネーで支払った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
消耗品費 | 30,000 | 事業主借 | 30,000 |
購入した手さげ金庫の購入額が10万円未満のため、その全額を購入時(事業供用時)の費用として処理しています。
(具体例2-金庫の購入代金が10万円以上20万円未満の場合)
事務所で現金を保管するための据付型の金庫を購入した。なお代金は運搬料・据付料込で160,000円であり、翌月末に金庫販売業者の預金口座へ振り込むこととなっている(当社では10万円以上20万円未満の資産を購入した時は一括償却を行うこととしている)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
一括償却資産 | 160,000 | 未払金 | 160,000 |
購入した金庫の価格が20万円未満(据付料ほか付随費用込み)であるため、一括償却資産として計上し、3年間にわたって均等償却を行います。
当該資産につき、一括償却を行うかどうかは各資産ごとに選択できます(法人税法施行令133条の2第1項参照)。
なお、当社が中小企業者の場合には下記具体例3の方法を使って購入時などに一括費用処理することができる場合があります。
(具体例3-金庫の購入代金が30万円未満の場合)
事務所で現金を保管するための据付型の金庫を購入した。なお代金は運搬料・据付料込で270,000円であり、翌月末に金庫販売業者の預金口座へ振り込むこととなっている(当社は資本金が1億円未満の中小企業者(青色申告法人)に該当する。なおこれ以外に本年度は30万円未満の資産の購入はない)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
消耗品費 | 270,000 | 未払金 | 270,000 |
購入した金庫の価格が30万円未満(据付料ほか付随費用込み)であり、当社が青色申告を行う中小企業者であるため、支出時の費用として処理しています。
10万円以上20万円未満のものであっても、同様に支出時の費用として処理することができます。
(具体例4-金庫の購入代金が30万円以上の場合)
事務所で現金を保管するための据付型の金庫を購入した。なお代金は運搬料・据付料込で500,000円であり、翌月末に金庫販売業者の預金口座へ振り込むこととなっている
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
備品 | 500,000 | 未払金 | 500,000 |
30万円以上の金庫を購入した場合は『備品』勘定などを使って資産計上し、耐用年数(20年または5年)にわたって減価償却計算を行い、購入額を費用化します。
(関連項目)
貸金庫の仕訳・勘定科目
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