所有権移転ファイナンスリースと所有権移転外ファイナンス・リース取引

会計上、リース取引はファイナンス・リース取引とオペレーティング・リース取引とに大別されますが、ファイナンス・リース取引はさらに、リース契約上の諸条件に照らしてリース物件の所有権が借手に移転すると認められるもの(所有権移転ファイナンス・リース取引)と、それ以外の取引(所有権移転外ファイナンス・リース取引)に分類されます(リース取引に関する会計基準 第8項参照)。

ファイナンス・リース取引と判定されたもののうち、次のいずれかに該当するリース取引は、所有権移転ファイナンス・リース取引に該当し、いずれにも該当しないものは所有権移転外ファイナンス・リース取引に該当します(リース取引に関する会計基準の適用指針 第10項参照)。

(所有権移転ファイナンス・リース取引の要件)
所有権移転条項付リース リース契約上、リース期間終了後又はリース期間の中途で、リース物件の所有権が借手に移転することとされているリース取引 。
割安購入選択権付リース リース契約上、借手に対して、リース期間終了後又はリース期間の中途で、名目的価額又はその行使時点のリース物件の価額に比して著しく有利な価額で買い取る権利が与えられており、その行使が確実に予想されるリース取引 。
特別仕様物件のリース リース物件が、借手の用途等に合わせて特別の仕様により製作又は建設されたものであって、当該リース物件の返還後、貸手が第三者に再びリース又は売却することが困難であるため、その使用可能期間を通じて借手によってのみ使用されることが明らかなリース取引 。

ファイナンス・リース取引については、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行います。

所有権移転ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は、自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により算定する必要がありますが、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産の減価償却費は、原則として、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定します。
なお所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る減価償却方法については、定額法・級数法・生産高比例法等の中から企業の実態に応じたものを選択適用することになりますが、この場合において自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により減価償却費を算定する必要はありません(リース取引に関する会計基準第12項参照、リース取引に関する会計基準の適用指針第28・42項等参照)。

また所有権移転外ファイナンス・リース取引について、企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリース取引で、リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下のリース取引など、個々のリース資産に重要性が乏しいと認められる場合は、オペレーティング・リース取引の会計処理に準じて、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理を行うことができます(リース取引に関する会計基準の適用指針第34・35(3)・46項等参照)。

(関連項目)
ファイナンスリース取引とオペレーティングリース取引
ノンキャンセラブルとフルペイアウト(概要と具体的判定基準 )
リース資産の取得原価(リース資産・リース債務の計上額)の算定

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