新株予約権付社債の取得者側の仕訳・会計処理

新株予約権付社債を取得した時の会計処理は、取得した新株予約権付社債が転換社債型新株予約権付社債かその他の新株予約権付社債かにより以下の通り異なります（金融商品に関する会計基準第37・39項、払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理第20・22項参照） 。

なお発行側の会計処理は、それぞれ
新株予約権付社債（区分法）の仕訳・会計処理
新株予約権付社債（一括法）の仕訳・会計処理
をご参照ください。

（具体例1－新株予約権付社債・一括法）

１．当社は×1年1月1日（期首）に以下の条件において転換社債型新株予約権付社債（投資有価証券勘定で処理）を取得し、払込額は現金で支払った。取得時の仕訳を示しなさい。

（新株予約権付社債）
額面金額：1,000,000円
払込金額：1,000,000円
社債の対価部分：900,000円
新株予約権の対価部分：100,000円
社債の償還日：×5年12月31日（償還日まで5年）
社債の利率：0%

転換社債型新株予約権付社債は一括法で記帳しますので、取得価額全額を普通社債の取得として処理します。

２．×2年1月1日において上記新株予約権付社債のうち60%が行使した。

（計算過程）
新株予約権付社債の権利行使部分：1,000,000円×60%＝600,000円

新株予約権の権利行使により、転換社債型新株予約権付社債（投資有価証券）の600,000円分を株式（投資有価証券）600,000円に振替えています。

３．新株予約権の権利行使期間が満了した。権利未行使部分は上記新株予約権のうち40%部分であった。

一括法においては新株予約権を個別に把握はしていませんので新株予約権失効損の計上は行いません。

（具体例2－新株予約権付社債・区分法）

１．当社は×1年1月1日（期首）に以下の条件においてその他の新株予約権付社債（投資有価証券勘定で処理）を取得し、払込額は現金で支払った。取得時の仕訳を示しなさい。

（新株予約権付社債）
額面金額：1,000,000円
払込金額：1,000,000円
社債の対価部分：900,000円
新株予約権の対価部分：100,000円
社債の償還日：×5年12月31日（償還日まで5年）
社債の利率：0%
償却原価法の適用：定額法

その他の新株予約権付社債は区分法で記帳しますので、取得価額を社債の対価部分と新株予約権の対価部分とに区分して記帳することになります。

２．×1年12月31日決算日を迎えた。

（計算過程）
償却原価法の適用：(1,000,000円－900,000円)/5年＝20,000円

社債部分について取得価額と額面金額との差額は償却原価法を適用します。

３．×2年1月1日において上記新株予約権のうち60%が行使し、権利行使に伴う払込額500,000円を現金で支払った。

（計算過程）
新株予約権の権利行使部分：100,000円×60%＝60,000円

仮に、上記の権利行使について代用払込を行った場合の計算過程と仕訳は以下のようになります。

（計算過程）
新株予約権の権利行使部分：100,000円×60%＝60,000円
社債の権利行使部分：(900,000円＋20,000円)×60%＝552,000円

４．新株予約権の権利行使期間が満了した。権利未行使部分は上記新株予約権のうち40%部分であった。

（計算過程）
新株予約権の権利未行使部分：100,000円×40%＝40,000円