期待運用収益(年金資産)の計算と仕訳

企業外部に積み立てられた年金資産は、年金基金などに運用され、毎期運用益が発生することが期待されます。この期待される運用益を期待運用収益といいます。
すなわち期待運用収益とは、年金資産の運用により生じると合理的に期待される計算上の収益をいいます(退職給付に関する会計基準第10項参照)。

期待運用収益の額は年金資産を増加させるものであるため、これを退職給付引当金(負債)および退職給付費用(費用)から減額させる処理を行います。期待運用収益の額は、期首の年金資産の額に合理的に期待される収益率(長期期待運用収益率)を乗じて計算します(退職給付に関する会計基準第23項参照)。

(期待運用収益の算定)
期待運用収益=期首の年金資産×長期期待運用収益率

長期期待運用収益率は、年金資産が退職給付の支払に充てられるまでの時期、保有している年金資産のポートフォリオ、過去の運用実績、運用方針及び市場の動向等を考慮して設定することになります(退職給付に関する会計基準の適用指針第25項等参照)。

(具体例-期待運用収益)

期首の年金資産の額を100,000円、長期期待運用収益率を3%とした場合、当期の期待運用収益の金額を計算し、期待運用収益に関する仕訳を示しなさい(この問題では勤務費用・利息費用・差異等については考慮しない)。

(計算過程)
100,000円(期首の年金資産)×3%(長期期待運用収益率)=3,000円(期待運用収益)

(仕訳-期待運用収益)
借方 金額 貸方 金額
退職給付引当金 3,000 退職給付費用 3,000

期待運用収益の額は年金資産を増加させるものであるため、これを退職給付引当金(負債)および退職給付費用(費用)から減額させます。

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