退職給付債務の算定(割引計算)について
退職給付とは、従業員などが一定の期間にわたり労働を提供したこと等の事由に基づいて、退職以後に支給される給付をいいます。
また退職給付債務とは、退職給付のうち、認識時点までに発生していると認められる部分を割り引いたものをいいます(退職給付に関する会計基準第3・6項参照)。
退職一時金や退職年金は将来において従業員が退職した時以後に支給されるものですが、その発生原因は在職時において、従業員が労働を提供したことに起因するものですので、発生主義により、当期に発生したと認められる金額は当期の費用として計上し、貸借対照表上において債務(引当金)として計上することが必要となります。
上記の通り、退職給付債務は割引計算よって算定しますので、たとえばA社員の全勤務期間を5年(当期末までに3年経過)、退職時一時金の見込額を1,000,000円(毎期同額発生するものとする)、割引率を2%とした場合、A社員に係る当期末における退職給付債務は以下のように求められます。
1.当期末までに発生した退職給付の見込額:1,000,000円×3年/5年=600,000円
2.当期末から退職時までの期間:5年-3年=2年 3.当期末の退職給付債務:600,000円/(1+0.02)^2年=576,701円 |
個別財務諸表上、退職給付債務は年金資産等必要な項目を増減した後、『退職給付引当金』として貸借対照表上の固定負債の部に計上されます(退職給付に関する会計基準第39項(1)(3)参照)。
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