時価を把握することが極めて困難な外貨建株式の減損仕訳
時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建株式の実質価額が著しく低下した時は、外貨による実質価額を決算時の為替レート(CR)により換算した価格を貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損失(『投資有価証券評価損』または『子会社株式評価損』など)として損益計算書上、特別損失の区分に表示します(外貨建取引等会計処理基準一2(1)3二、外貨建取引等の会計処理に関する実務指針18参照等参照)。
期末評価額=外貨による実質価額×決算時の為替レート(CR) |
時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建株式の減損について
時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建株式について、その実質価額(1株当たりの純資産額に保有株式数を乗じて求めた価額等)が著しく低下した時は、実質価額に決算時の為替レート(CR)を乗じて算定された価額を貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損失(特別損失)として処理することが必要となります。この時、時価が「著しく低下した」かどうかは、外貨建株式の場合においては外貨による実質価額と外貨による原価との比較で判断することになります。
なお外貨建株式の実質価額の算定をするに当たり、資産等の時価評価のための資料が合理的に入手できる場合には、時価評価に基づく評価差額等を加味して外貨建株式の実質価額を算定することになります。(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針18参照等参照。なお有価証券の減損処理の詳細については、有価証券の減損(実価法)の会計処理も合わせてご参照ください)。
(具体例-時価の把握困難な外貨建株式の減損)
決算時における以下の有価証券の評価・換算に関する仕訳を示しなさい。なお、当決算時における為替レート(CR)は1ドル105円であるものとする。
銘柄 | 取得原価 | 取得時レート | 時価 | 保有目的 |
B株式 | 50ドル | 100円 | 不明 | 関連会社 |
※ 当社はB社株式の発行済み株式の30%を保有しており当該株式を関連会社株式として区分している。なお当社決算時において、B社の財政状態は著しく悪化しており、1株当たりの純資産額は1ドルと算定された(当社の保有株式数は15株)。B社株式の実質価額については回復可能性を裏付ける十分な証拠を得ることはできないため当期において評価損失を計上することとする。
(計算過程)
B社株式の取得原価:50ドル×100円=5,000円
B社株式の実質価額:1ドル×15株×105円=1,575円
B社株式の評価差額:5,000円-1,575円=3,425円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
関連会社株式評価損 | 3,425 | 関連会社株式 | 3,425 |
外貨建て子会社株式・関連会社株式の期末評価額は取得原価に取得時のレート(HR)を乗じて算定します。上記設例では関連会社株式の減損処理により、期末の実質価額と決算時レート(CR)による評価額と帳簿価額(取得原価×取得時レート)との差額を当期の損失として計上しています。
(関連項目)
時価のある外貨建て有価証券の減損処理の仕訳
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