時価のある外貨建有価証券の減損処理の仕訳
時価のある外貨建て有価証券の時価が著しく低下した時は、外貨による時価を決算時の為替レート(CR)により換算した価格を貸借対照表価額とし、評価差額は当期の損失(『投資有価証券評価損』または『子会社株式評価損』など)として損益計算書上、特別損失の区分に表示します(外貨建取引等会計処理基準一2(1)3二、外貨建取引等の会計処理に関する実務指針19参照等参照)。
期末評価額=外貨による時価×決算時の為替レート(CR) |
時価のある外貨建て有価証券の減損について
時価のある外貨建有価証券(売買目的有価証券は除く)については時価が著しく低下した時は、回復する見込みがあると認められる場合の除き、時価評価を行い、評価差額は当期の損失(特別損失)として処理することが必要となります。この時、時価が「著しく低下した」かどうかは、外貨建有価証券の場合においては外貨による時価と外貨による原価との比較で判断することになります。
なお、外貨建その他有価証券のうち債券については、外貨による時価の著しい下落は生じていなくても、円相場の著しい上昇により、円換算後の金額が著しく下落するときには、外貨建ての時価を決算時の為替レート(CR)により円換算し、換算差額を当期の損失として処理することが必要となります(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針19参照等参照。なお有価証券の減損処理の詳細については、有価証券の減損(強制評価減)の会計処理も合わせてご参照ください)。
(具体例-時価のある外貨建有価証券の減損)
決算時における以下の有価証券の評価・換算に関する仕訳を示しなさい。なお、当決算時における為替レート(CR)は1ドル105円であるものとする。
銘柄 | 取得原価 | 取得時レート | 時価 | 保有目的 |
A株式 | 30ドル | 100円 | 10ドル | 子会社株式 |
※ 当社はA社株式の発行済み株式の60%を保有しており当該株式を子会社株式として区分している。決算においてA社株式の時価を調べたところ、また取得時の50%未満である10ドルまで下落しており、取得原価水準まで回復する見込みもないものと判断したため当期に評価損を計上するものとする。
(計算過程)
A社株式の取得原価:30ドル×100円=3,000円
A社株式の時価評価額:10ドル×105円=1,050円
A社株式の評価差額:3,000円-1,050円=1,950円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
子会社株式評価損 | 1,950 | 子会社株式 | 1,950 |
外貨建て子会社株式・関連会社株式の期末評価額は取得原価に取得時のレート(HR)を乗じて算定します。上記設例では子会社株式の減損処理により、期末時価と決算時レート(CR)による評価額と帳簿価額(取得原価×取得時レート)との差額を当期の損失として計上しています。
(関連項目)
時価を把握することが極めて困難な外貨建株式の減損仕訳
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