外貨建その他有価証券の換算について

外貨建てその他有価証券は、外貨による時価を決算時の為替レート(CR)により円換算した額を貸借対照表価額とし、決算時の換算によって生じた差額は全部純資産直入法または部分純資産直入法に従って『その他有価証券評価差額金』または『投資有価証券評価損』として処理します。
また、時価を把握することが極めて困難と認められる外貨建てその他有価証券については取得原価または償却原価に決算時の為替レート(CR)により円換算した額を貸借対照表価額とします。
ただし、償却原価法を適用した債券について、当期償却額は期中平均レート(AR)により円換算した額は『有価証券利息』として計上します(外貨建取引等会計処理基準一2(1)3ロ・一2(2)、外貨建取引等の会計処理に関する実務指針13・15参照等参照)。

(外貨建その他有価証券の換算)
期末評価額=外貨による時価×決算時の為替レート(CR)

上記評価額と換算前帳簿価額(取得原価または償却原価)との差額は税効果会計を適用し、全部純資産直入法の場合は『その他有価証券評価差額金』、部分純資産直入法の場合は評価益は『その他有価証券評価差額金』、評価損は『投資有価証券評価損』(営業外損益)として処理します。

なお、その他有価証券に属する債券については、上記換算差額のうち、外国通貨による時価の変動に係る換算差額(外貨による時価変動額に決算時のレート(CR)を乗じて算定した金額)を有価証券に係る評価差額とし、それ以外の換算差額については為替差損益として処理することもできます(外貨建取引等会計処理基準注解・注10等参照。容認規定の詳細は外貨建その他有価証券に属する債券の換算(例外法・容認法)をご参照ください)。

(具体例1-その他有価証券に属する株式の換算)

1.×1年度において外貨建有価証券であるA社株式を500ドルで取得し、代金は現金で支払った。A社株式取得時の為替レート(HR)は1ドル100円であった。当社はA社株式をその他有価証券として区分している。

(計算過程)
A社株式の取得価格:500ドル×100円=50,000円

(仕訳・取得時)
借方 金額 貸方 金額
投資有価証券 50,000 現金 50,000

2.×1年度決算期を迎えた。A社株式の期末時点における時価は530ドルであり、期末時の為替レート(CR)は1ドル120円であった。A社株式の期末評価に関する仕訳を示しなさい。なお、当社はその他有価証券の評価について全部純資産直入法を採用しているものとする(税効果会計は考慮しない)。

(計算過程)
A社株式の期末評価額(円貨):530ドル×120円=63,600円
評価差額:期末63,600円-取得時50,000円=13,600円

(仕訳・決算時)
借方 金額 貸方 金額
投資有価証券 13,600 その他有価証券評価差額金 13,600
(具体例2-その他有価証券の換算・償却原価法適用あり)

1.×1年度期首においてB社社債を180ドルで取得し、代金は現金で支払った。B社社債取得時の為替レート(HR)は1ドル100円であった。なお、B社社債の額面金額200ドルであり、額面金額と取得価額との差額は金利の調整と認められるため償却原価法(定額法)を採用している。B社債の満期は×4年度末(満期まで4年)であり、当社ではB社社債をその他有価証券債券として区分している。

(計算過程)
B社社債の取得原価:180ドル×100円=18,000円

(仕訳・取得時)
借方 金額 貸方 金額
投資有価証券 18,000 現金 18,000

2.×1年度決算期を迎えた。B社社債の期末時点における時価は195ドルであり、期末時の為替レート(CR)は1ドル120円、期中平均レート(AR)は110円であった。B社社債の期末評価に関する仕訳を示しなさい。なお、当社はその他有価証券の評価について全部純資産直入法を採用しているものとする(税効果会計は考慮しない)。

(計算過程)
B社社債の期末評価額:195ドル×120円=23,400円
B社社債の償却原価法適用時の償却額(外貨額):(200ドル-180ドル)÷4年=5ドル
B社社債の償却原価法適用時の償却額(円貨額):5ドル×AR@110円=550円
B社債の評価差額:23,400円-(18,000円+550円)=4,850円

(仕訳・決算時)
借方 金額 貸方 金額
投資有価証券 5,400 有価証券利息 550
その他有価証券評価差額金 4,850

償却原価法適用時の償却額は外貨による償却額に期中平均レート(AR)を乗じて算定します。
なお、外国通貨による時価の変動に係る換算差額(外貨による時価変動額に決算時のレート(CR)を乗じて算定した金額)を有価証券に係る評価差額とし、それ以外の換算差額については為替差損益として処理することもできます(外貨建取引等会計処理基準注解・注10の容認規定)。

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