手形保証(保証債務)の仕訳・会計処理

手形保証とは、他の者の発行した手形に保証人として署名することにより、他の者の手形債務を保証することをいいます。
手形保証を行った場合、保証人は、手形発行者が手形期日までに手形代金を決済できないときは手形発行者に変わって手形金額を払わなければなりません。これは、偶発債務(現時点においては発生していませんが将来の偶発的事象によって債務となる可能性のあるもの)と呼ばれるもので、偶発債務の額は貸借対照表において注記がもとめられます。
したがって偶発債務の額を備忘記録するために、手形金額を

借方『手形保証債務見返』 貸方『手形保証債務』

の対照勘定で記帳します(対照勘定は備忘記録のための勘定であり、貸借対照表に計上されるものではありませんのでご注意ください)。

なお、手形保証は割引手形や裏書手形のような金融資産の消滅に伴って発生する保証債務ではないため保証債務の時価評価は行いません(金融商品会計に関する実務指針第136・137項参照)。裏書手形割引手形の保証債務費用の取り扱いについては左記リンク先をクリックください。

(具体例-手形保証)

1.A社が振出した約束手形10,000円について、保証人として署名し、手形保証を行った。

(仕訳・保証時)
借方 金額 貸方 金額
手形保証債務見返 10,000 手形保証債務 10,000

2.上記の手形が手形期日に無事決済された。

(仕訳・決済時)
借方 金額 貸方 金額
手形保証債務 10,000 手形保証債務見返 10,000

仮に、手形が決済されずに、手形発行者に代わって手形代金を支払った時の仕訳は以下の通りです。

3.上記1の手形が期日に決済されず、当社が手形所持人に対し手形代金10,000円を現金で支払った。

(仕訳・不渡時)
借方 金額 貸方 金額
手形保証債務 10,000 手形保証債務見返 10,000
不渡手形 10,000 現金 10,000

上記の不渡手形は手形発行者に対する求償権を表します。

なお、原債務者の財政状態の悪化等により、債務不履行となる可能性があり、保証債務履行に伴い発生した求償債権の回収もできなくなる可能性が高い場合であり、かつ損失額を合理的に見積もることができる場合は、当期の負担に属する金額を債務保証損失引当金に計上します(監査委員会報告第61号 保証債務及び保証類似行為の会計処理及び表示に関する監査上の取り扱い4参照)。

(関連項目)
債務保証(保証債務)の仕訳・会計処理

スポンサードリンク