青色事業専従者の要件とは
個人事業主が、生計を一にする妻・夫(配偶者といいます)やその他の親族に給与を支払っても、原則として必要経費とは認められません。しかし、以下の条件をすべて満たす場合、青色申告者が支払った配偶者や親族に対する給与についても必要経費として処理することが可能です(これを青色事業専従者給与といいます。所得税法第57条第1項・2項、所得税法施行令第165条等参照)
1 | 対象となる生計を一にする配偶者その他の親族が、その年の12月31日時点で満15歳以上であること |
2 | 1年を通じて6か月を超える期間、専ら青色申告者の事業に従事していること(※注) |
3 | 事前(その年の3月15日まで)に「青色専従者給与に関する届出書」を税務署長に提出していること |
4 | 給与の額が、労務の性質や事業の規模・同業種に従事する他の労働者の給与の額などと比較して相当であること(過大とされる部分は必要経費とはなりません) |
(※注:ただし、年度の途中で開業した場合や、専従者が死亡または長期にわたる病気・婚姻などの理由により、その年中を通じて当該事業に従事することができなかった時は当該事業に従事することができると認められる期間を通じてその二分の一に相当する期間をこえる期間、当該事業に専ら従事していれば要件を満たすものとされます。)
青色事業専従者としてその給与を必要経費として処理するためには、事前の届け出が必要となります。事前の届け出期間は、その年の3月15日までとなっております。たとえば、x1年の確定申告(申告期限は翌年のx2年3月15日)分において青色事業専従者給与を必要経費とするためには、その年、つまりx1年3月15日までに「青色専従者給与に関する届出書」を税務署長に提出することが必要となります(x1年分の申告書と一緒にx2年3月15日までに提出するのではありません)。
また、青色事業専従者は専ら納税者の事業に従事していることが必要です。外部の長期間のパートなどで収入を得ている場合はこの要件を満たさない恐れがあります。
さらに、親族以外の者に支給する給与や同規模の同業者の支給している給与の状況、その他その事業の規模や収益の状況から見て相当な金額の給与であることが求められますので、これらの状況から過大と認められる給与は必要経費とはなりません。
なお、青色申告者の事業専従者として給与の支払を受ける人を配偶者控除や配偶者特別控除、扶養控除の対象とすることはできませんのでご注意ください(所得税法第2条第1項33号・34号、第83条・83条の2・84条等参照)。
スポンサードリンク