青色事業専従者給与の要件と仕訳・勘定科目

個人事業主が、事業を手伝ってくれている家族(生計を一にしている配偶者その他の親族)に労働の対価としてお給料を支払っても、原則として、この家族に支払ったお給料を事業上の経費として処理することはできません。ただし一定の条件を満たす場合、たとえ家族に支払ったお給料であっても事業を行う上での経費として処理することができます。これを青色事業専従者給与(または事業専従者控除といいます)。

1.専従者給料の要件

青色事業専従者給与を必要経費として処理するためには、以下の要件を満たす必要があります(所得税法第57条、所得税法施行令第164・165条等参照)。

(青色事業専従者給与の要件)

1.青色申告者である納税者が、青色事業専従者に支払った給与であることが必要です。

なお青色事業専従者とは、次のすべての要件に該当する人をいいます。
a 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること。
b 15歳以上(その年の12月31日時点で判定)であること。
c その年を通じて6月を超える期間(開業した年度などの場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間)、その青色申告者の営む事業に専ら従事していること。

2.青色事業専従者給与を必要経費として処理するためには「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に事前に提出することが必要となります。 提出期限は、原則として適用を受けようとする年の3月15日(その年の1月16日以後に新たに事業を開始した場合や、新たに専従者がいることとなった場合には、その開始した日や専従者がいることとなった日から2か月以内)までです。

なお、当然ですが青色事業専従者給与の額は、労務の対価として相当であると認められる金額であることが必要です。したがって、たとえ実際に支払われた金額であっても過大とされる部分は必要経費とはなりません。
また、青色事業専従者給与の支払いは源泉所得税の徴収対象となります。他の従業員に対する給与と同様に源泉所得税の徴収事務手続きが必要となります。

2.青色事業専従者給与を支払った時の仕訳

青色申告者である事業主が、上記の要件をみたす青色事業専従者に給与を支払った時は、『専従者給料』(または『給料』など)勘定を使って処理します。

(具体例-青色事業専従者給与を支払った時の仕訳)

青色申告者である個人事業主が事業用の普通預金口座より、青色事業専従者である妻の預金口座に今月分の給与(専従者給与)として80,000円を振り込んだ。

(仕訳)
借方 金額 貸方 金額
専従者給与 80,000 普通預金 80,000

青色事業専従者給与は源泉所得税の徴収対象となりますので、支給金額によっては源泉所得税の徴収手続きが必要となります(源泉所得税に関する仕訳処理は給与支払時の源泉所得税に関する仕訳・勘定科目も合わせてご参照ください)。

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