金利スワップの仕訳・会計処理
金利スワップとは、同一の通貨間において、変動金利と固定金利とを交換する取引であり、デリバティブ取引の一種です。
変動金利による金利変動リスクを解消することや、金利変動による投機的利益を目的としたものであり、同一通貨間で行われるものであるという特徴があります。
金利スワップの会計処理における主な特徴としては以下の点があげられます(金融商品に関する会計基準第25項等参照)。
1 | 契約時において、想定元本(交換する金利を計算するうえでの想定上の元本)を設定する必要があります。なお、契約時の金利スワップ自体の仕訳は必要ありません。 |
2 | 利払時において、変動金利と固定金利との交換を行います |
3 | 決算時において、金利スワップを時価評価し、評価差額は当期の損益として扱います。 |
金利スワップは変動金利での資金調達時において、金利変動リスクを回避する目的などで利用されます。金利変動に対して異なる見方を持った当事者間同士によって行われる金利交換取引です。
(具体例-金利スワップ)
1.当社はx1年4月1日にA銀行から1,000,000円(期間3年・変動金利・利払日は毎年3月31日)の融資を受け当座預金に入金した。なお、当社では今後の金利変動リスクを回避するため、想定元本を1,000,000円、変動金利受取、固定金利3%支払の金利スワップ契約をB銀行と締結した(なお、特例処理は採用しない)。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
当座預金 | 1,000,000 | 長期借入金 | 1,000,000 |
契約時は金利スワップに関する仕訳は行いません。借入金に関する仕訳のみを行います。
2.x2年3月31日決算日を迎えた。同日の変動金利は4%であった。利息は当座預金より支払った。また、金利スワップの時価は18,860円である。
(計算過程-利息について)
まず、利息に関しては変動金利(4%)をA銀行に支払う必要があります。
Aへの支払利息:1,000,000円×4%=40,000円
また、B銀行と固定金利(3%)支払・変動金利(4%)受取の金利スワップ契約を締結していますので、その差額の受け払いを行います。本日は変動金利のレートの方が固定金利より大きいため、その差額を受け取ることになります。
Bからの受取金利:1,000,000円×(4%-3%)=10,000円
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
支払利息 | 40,000 | 当座預金 | 40,000 |
当座預金 | 10,000 | 支払利息 | 10,000 |
次に金利スワップの時価評価を行います。評価は、将来キャッシュ・フローを見積もり、それを適切な市場利子率で割り引くことになどにより現在価値を算定し求めることになります(割引現在価値による方法・金融商品会計に関する実務指針第102項(2)参照)。本設例の場合であれば
1,000,000×(4%-3%)÷1.04+1,000,000×(4%-3%)÷1.04^2=18,860円
として算定していますが、簿記検定や会計士試験などの試験では通常は与えられます。
金利スワップの時価評価額は『金利スワップ資産』『金利スワップ負債』として資産・負債として計上し、相手勘定は『金利スワップ損益』(営業外損益)として処理することになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
---|---|---|---|
金利スワップ資産 | 18,860 | 金利スワップ損益 | 18,860 |
変動金利に関してはLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)やTIBOR(東京の銀行間金利)などと連動させることが多いですが、本設問では単純化のためこれらの用語を使用していません。
(関連項目)
金利スワップ(ヘッジ会計適用)の仕訳・会計処理
金利スワップ(特例処理)の仕訳・会計処理
債券先物取引の仕訳・会計処理
オプション取引の仕訳・会計処理
ヘッジ取引とヘッジ会計
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