オプション取引の仕訳・会計処理

オプション取引とは、特定の原資産を、定められた価格で買ったり売ったりする権利を売買する取引であり、デリバティブ取引の一種です。
オプション取引は権利の売買であり、買手においては先物取引やスワップのような義務は生じません。権利を行使するかどうかは買手の自由であるという特徴があります。
オプション取引は、対象となる原資産の種類により、通貨オプション・株式オプション・金利オプションなどがあります。また原資産を定められた価格で買う権利(コール・オプション)と原資産を定められた価格で売ることができる権利(プット・オプション)とがあり、またコールオプション・プットオプションそれぞれに買手と売手がいることから、いかの4つの分類に分けられます。

(オプション取引の種類)
コール・オプション プット・オプション
買手 コールオプションの買い
(買う権利の買い)
プットオプションの買い
(売る権利の買い)
売手 コールオプションの売り
(買う権利の売り)
プットオプションの売り
(売る権利の売り)

オプション取引では、買手は権利を買うためのオプション料(プレミアムともいいます)を支払います。買手は権利を行使するかどうかは自由であり、権利を行使しない場合も損失はオプション料の放棄に限定されます。一方、売手はオプション料の収入を得ますが、買手が権利を行使した時はこれに応じなければなりません。売手の収入はオプション料の範囲内に限られますが、リスクは理論上は無制限となる可能性があることに注意が必要です。
なお、オプションはデリバティブの一種であり、期末に時価評価が求められます(金融商品に関する会計基準第25項参照)。オプションの時価評価に関しては、ブラック・ショールズ・モデルや二項モデルなどのオプション価格モデルを用いて時価を算定しますが、取引相手の金融機関やブローカー等から入手した価格を自らの責任で使用することもできます(金融商品会計に関する実務指針第102項(3)参照)。

(具体例-オプション取引)

1.x1年1月1日において、A株式を1,000円で購入することができる権利(コールオプション)を買建て、オプション料として100円を現金で支払った。

(契約時)
借方 金額 貸方 金額
買建オプション 100 現金 100

2.x1年3月31日決算日を迎えた、A株式の同日の時価は1,100円であり、オプションの時価は110円と算定された。

(計算過程)
時価評価損益:110円-100円=10円

(決算時)
借方 金額 貸方 金額
買建オプション 10 オプション差損益 10

3.x1年4月30日において、A株式の時価が1,200円となったので、権利を行使し、反対売買による差金決済を行った。

(計算過程)
入金額:1,200円-1,000円=200円
利益:200円-110円=90円

(決済時)
借方 金額 貸方 金額
現金 200 買建オプション 110
オプション差損益 90

買手がオプション料を支払った時は、『買建オプション』勘定を使って資産計上し、売手がオプション料を受取ったときは、『売建オプション』勘定を使って負債計上します。また、時価評価損益や決済損益は『オプション差損益』(営業外損益)勘定を使って記帳します。
なお、上記3の仕訳について、A株式の時価が10,000円を超えなかったため権利行使しないまま期限を迎えたときは以下のようになります。

(権利未行使のまま期限到来した時)
借方 金額 貸方 金額
オプション差損益 110 買建オプション 110

(関連項目)
債券先物取引の仕訳・会計処理
金利スワップの仕訳・会計処理
ヘッジ取引とヘッジ会計

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