外貨建取引(決算時の売掛金・買掛金の換算)の仕訳

売掛金や買掛金などの外貨建金銭債権・債務は、取引発生時にその時のレート(HR)ですでに円貨に換算され記帳されていますが、決算時においては再度、決算時の為替レート(CRにより換算し直すことが必要となります。これは将来において資金収支を伴う項目(貨幣項目といいます)については、決算時の為替レート(CR)を付し、為替相場の変動が企業会計に与えている暫定的な影響も認識する必要があると考えられるためです。
なお、取引発生時のレート(HR)と決算時のレート(CR)との差額による損益は為替差損益(営業外収益または営業外費用)として処理します。

(具体例-外貨建取引・決算の換算)

1.アメリカの仕入先A社より商品30ドル分を仕入れ、代金は掛けとした。なお、取引発生時の為替レートは1ドル=100円であった。

(計算過程)
30ドル:30×100円=3,000円

(仕訳・仕入時)
借方 金額 貸方 金額
仕入 3,000 買掛金 3,000

2.上記の買掛金の決済日前に決算を迎えた。なお、決算時のレートは1ドル=102円であった。

(計算過程)
30ドル:30×102円=3,060円
為替差損益:3,000円-3,060円=-60円

(仕訳・決算時)
借方 金額 貸方 金額
為替差損益 60 買掛金 60

3.翌期において、上記の買掛金を現金で決済した。なお、代金決済時のレートは1ドル=105円であった。

(計算過程)
30ドル:30×105円=3,150円
為替差損益:3,060円-3,150円=-90円

(仕訳・決済時)
借方 金額 貸方 金額
買掛金 3,060 現金 3,150
為替差損益 90

為替差損益の表示

決算時の換算によって生じた損益は、代金決済時の換算による損益と合算し、為替差損益として処理します。為替差損益は差益と差損とを相殺し、純額で損益計算書上の営業外収益・営業外費用の区分に表示します(外貨建取引等の会計処理に関する実務指針28参照)。

(関連項目)
外貨建資産負債の換算(貨幣非貨幣法・テンポラル法・決算日レート法など)
発生時換算法と期末時換算法(法人税法上の外貨建取引換算法)
外国通貨(ドル・ユーロ・ポンドなど)の決算時の換算

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